G-2 質問対策:あなたは誰?何がしたいの?
準備をやり尽くした自分であること
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名著の教えから導く就活の本質
前回は、面接とは何か、がテーマで、面接に当たってはその時間を全て使い切るという発想で、一挙手一投足全てにおいて、自分が伝えたいストーリーに合致するように発言・行動すべきもの、と説明しました。今回は、その考え方を、具体的に、「あなたは誰」と「何がしたいの」、に類する質問に対して、どのように対応していくべきかについて説明します。
メインとなるあなたは誰、という質問は、①自己紹介、②自己PR、③強みと弱み、④逆質問、という形で主に問われます。何がしたいの、は⑤志望動機という形で主に問われます。
それぞれの質問に対して、どのような戦略でどのように組み立てて回答していけばよいか、きちんと考えていますか。
まずは、「あなたはだれ」に類する質問から考えます。
面接の冒頭で要求されることの多い自己紹介から見てみましょう。この自己紹介、名前と大学名とよろしくお願いしますだけ言って終わってしまう残念なパターンがよく見受けられます。自己紹介の意義と意味を考えることもなく、適当に対応するとこのような何の意味もない回答になってしまいます。名前と大学名を言ったところでなんのプラスもありません。一挙手一投足で私を採用すべきだというストーリーを伝えなければならない立場にいるのに、この自己紹介は大いなる無駄です。では自己紹介の意義とは何でしょうか。
自己紹介の意義は、その後の面接の質問コントロール
です。質問の種をまく位置づけです。
名前と大学名を言った後に、マイストーリーの骨子と聞かれたい経験の骨子を語るべきなのです。
それをストーリーにすると、「私はこういうビジョンをもっており、そういう自分になるために○○・××・△△の力を養うべく、○○の経験、××の経験、△△の経験をして、自分を高めてまいりました。そして、私のビジョンを実現するには御社以外にはないと考え今回応募いたしました。本日はよろしくお願い致します。」のようになると思います。
これで、方向性と質問の種をまいたので、自分が描く方向性と質問が来る可能性が高くなります。
面接の途中または終盤では、自己PRをお願いします、と要求されることがあります。自己PRは、当然企業が求める人物像が持つべき素養を持っているという説得を行うために活用
します。一般的には他の人よりも、という視点で語りたがりますが、対他の人ではなく、対企業の目線で語るべきです。
具体的には、マイストーリーに基づく成長条件=これまで養ってきた素養を語り、それを醸成した経験のポイントだけ語ります。そして、それをどのように生かして企業の利益貢献するのかまで語ります。そうすると、求めている人物像であり採用すべきだ、というメッセージを強化することができます。
同様に、「面接の途中で強みと弱みを教えてください」と聞かれることもあります。
この質問への対処法は基本的に自己PRの考え方と同じです。強みはマイストーリーのこれまで養ってきた素養と経験を語ることでよいでしょう。弱みは、その企業の求める人物像から、弱みであってもマイナスにならない点を答える必要があります。行き過ぎた強みの方向性が最も答えやすいかと思います。
そして、面接の最後に、最後に何か質問はありますか、と問われることがあります。
このいわゆる逆質問に対しての考え方は、仮説検証と捉えてください。質問の内容で、企業理解を問われていると捉えてください。そこでは、企業の理解や企業や業界の未来に関する自分の見解の仮説検証を行うことが最も意義あるものになります。もしくは、これまで十分に研究し理解し、実際に働くイメージと覚悟を持っているのでありません、と堂々と答えるかでしょう。中途半端に思いつきで意味のない質問をするくらいなら、ありません、という方がよほど高評価です。
以上が、あなたは誰、に類する質問に対して、私を採用すべきだというメッセージを伝えるための戦術です。
つぎに、「うちで何がしたいの」に類する質問を考えます。
主な質問は「志望動機を教えてください」という形でよく問われます。
志望動機は、これまで各章のステップを行い、本質的な自己分析、本質的な企業研究、スコーピングを行い、それを適切な考え方と表現でエントリーシートに記載したあなたなら、実は簡単です。
それは、マイストーリーを語ることです。B-2にて、採用は投資活動で、素養と心を見極めるものだと説明しました。志望動機は心見極めるためのものであり、言い換えると入社してからどれくらい頑張れるか、を問われている質問です。その質問に対しては、自分のコアと企業のコアがマッチしており、構造的に極めて頑張れる心を持っている、ことを証明するべきでした。
したがって、志望動機は、マイストーリーを語り、自分は何のために生きているのか、その目的のためにどんなビジョン・ミッションを持ち、どこに進路を進めたいと考えているのか、その中で企業と各階層でどれだけ深くマッチし、自分の思いも伸ばすべき能力や経験も得られる絶対に入りたい志望先であるのか
、を語ればよいわけです。
一般的な就活生は、マイストーリーがないため、就活の軸を語り、その軸から企業に入りたいと述べますが、就活の軸自体が取ってつけたようなものであることが多く、それがその人の人生の中で最も大事なものではないだろうと思うような壮大なもしくは意味の分からないものであり、さらにその軸からその企業へとつながる論理がないもしくは破綻しており、なんとなく適当に受けただけだな、とすぐに見抜かれてしまうものです。
しかし、マイストーリーを構築していれば、仮に第二志望や第三志望の企業や業界であったとしても、コアがマッチしており構造的にがんばれることを説明できるので、評価は高くなります。
ここまで、各章のステップを踏み、マイストーリーを構築しているならば、そうではない一般の就活生と比べて、圧倒的優位に立っていることが理解できると思います。言い換えると、やれるだけの準備はやりつくした、と答えられる自分がいるのではないでしょうか。そういう自分がいれば、面接などの本番でも、自信をもって対応することができます。本番で自信を持てるためには、準備をやりつくした自分がある
必要があるのです。
今回は、あなたは誰、うちで何がしたいの、に類する主な質問に対して、どのような考え方(戦略)で、どのように回答すべきか(戦術)を説明しました。
次回は、うちで何ができるの、に類する素養に焦点を置いた質問への対応を説明します。
今回のポイント
1. 「あなた誰」に関する質問には、企業が求める人物像が持つべき素養を持っていることをアピール
2. 「うちで何がしたいの」に関する質問には、自分のコアと企業のコアが結びついていることをアピール
3. マイストーリーがあると、面接などの本番でも、自信をもって対応できる
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基盤とした名著
命題とはある存在するものについて分離または結合されていることを論理的に規定するものです。そして命題を構成する主語と述語の区別、判断の種別、対象や変形について考察されています。
演繹的な論理思考を体系化した名著中の名著。
問いを要素に分解し分析を行ううえでこの演繹思考の教えを基盤としています。