B-2 採用活動における自己分析の位置づけ
素養と心の証明
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名著の教えから導く就活の本質
就職活動を始めると、ES や面接など様々な場面で、志望動機、リーダーシップを発揮した経験などの様々な経験、を質問されることは既にご存知でしょう。では、そもそもなぜ、志望動機が聞かれるのでしょうか? なぜ経験が聞かれるのでしょうか?
こうした質問の裏側にある企業側の意図や目的を正確に把握すれば、企業の質問に対して適切な回答をすることができます。
企業側の意図や目的を知るためには、選考時に企業が学生をどのように評価しているのかを考える必要があります。A-2では、企業の採用活動は投資であり、投資対象として将来利益貢献できるかを見極めるには、あなたの将来活躍する能力があるか と、将来活躍する人材に成長するために頑張れるか、の2点であると説明しました。
あなたが、ある企業で将来活躍する能力があるかを見極めるためには、今現在のあなたの「素養」を見極め、将来活躍する人材に成長するために頑張れるかを見極めるために、あなたの「心」を見極めます。より重要なのは、「会社に入ってどれほど頑張れるか」を証明する心
です。なぜなら、会社に入ってからどれだけがんばれるかの心の方が、成長に対する影響が大きいから
です。
ドラフト 4 位で入団したにも関わらず、誰も真似できないほどの不断の努力を続け、世界的なバッターになったイチローがその最たる例でしょう。
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では、企業はどのように素養と心を見極めるのでしょうか。
見極めるためには、その学生がどんな経験と志望動機をしてきたのかを聞く以外に方法はありません。なぜなら、転職活動とは違い、新卒採用においては、応募者全員が職務経歴のない学生であり、これまでの「人生経験」と「あなたの思いや考え」で測る以外に手段がないからです。
だからこそ、企業は ES・面接といった様々な手段で、学生時代にどれほど頑張ったかの経験を質問し、より心を深掘りするために、志望動機を質問し、入社してからも今まで以上に頑張れるかを見極めるわけです。
そして、素養と心の見極め方は、基本的には、その学生の素養と心が「自社にマッチ」しているかとなります。当然ながら、素養と心は、それがマッチした状況になければ発揮されないからです。個人競技が向いていて好きな人に、団体競技やってもらっても、うまくいかないことと同じようなものです。
企業が、そもそも志望動機や経験を質問する意図はこれで理解いただけたと思います。
実はこの素養と心の見極めの関係は、簡単な一次関数で表現できます。切片が入社時点の素養を表します。傾きが、入社後の頑張りつまり心を表します。そうすると、入社時点では確かに最低限求めるべき切片を超えていることを証明する必要があるので、素養の説明が必要になります。一方で、中長期で見た場合に、その人の成長に影響するのは、はるかに傾きつまり心の方が大きいため、より心を重要視するわけです。
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つまり企業にとっての自己分析は、素養と心がマッチしているかを見極めるための調査対象であり、志望動機と経験を聞くという形で表現されます。
そして、これに対応するためには、まず自分自身が自分の素養と心をきちんと理解する必要があります。自分の素養と心に対する理解が不足していれば、自分では良く書けたと思ったES も、上手く行ったと思った面接も企業には刺さりません。
志望企業にことごとく落とされてしまった、という学生は、素養と心と企業がマッチしていなかったと言えます。
この場合、
・自己分析が不十分で、自分の素養と心を把握できていなかった。
・企業分析が不十分で、応募企業がどのような素養と心を持つ学生を求めているか把握できていなかった
のどちらか、あるいは両方が原因と言えます。
大量の”お祈りメール”を受け取り、自分の人格を否定をされている気分になって、ものすごく落ち込む学生がいますが、その必要はありません。自分の準備不足を反省し改善すればよいのです。
前回示したマイストーリーの構築ができれば、自分自身が自分の素養と心、その根拠となる経験と志望動機をきちんと理解しているので、志望企業がマッチしていると判断するように志望動機と経験を説明することは容易になります。
前回と今回で、自己分析とはあなたにとってはマイストーリーの構築であること、企業にとっては素養と心を見極めるための調査対象である、と説明しました。次回は、自己分析の効果について説明します。
今回のポイント
1. 企業はあなたが将来活躍するかどうかを見極めるため、あなたの「素養と心」を見ている
2. 本質的な自己分析を通じて、本当の自分と本当の志望先に出会えると、志望先に他者にはない深く強い訴求が可能になる
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基盤とした名著
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