B-3 自己分析の効果
内定獲得とミスマッチ防止
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名著の教えから導く就活の本質
自己分析によって本当の自分を導き出すことは、あなたにどのような効果をもたらすでしょうか短期的効果 : 他者にはない訴求ができる為、志望企業への内定を獲得しやすくなります。
中長期的効果 : 就職後の志望企業や業界と自分とのミスマッチの防止を正確に行う事ができます。
このような自己分析による効果は、どのようなメカニズムで成り立っているのかを見て行きましょう。
短期的な効果については、第一は志望動機への効果です。
本質的な自己分析=マイストーリーの構築がしっかり行われており、そのうえで企業研究もしっかり行われていれば、自分の最も深い部分と企業の企業理念や提供価値やビジネスモデルなどの深い部分とマッチでき、それゆえに、あなたの志望動機には、他者にはない圧倒的な深みと重み、そして熱さが出てきます。
それこそが、B-2で述べた、企業が採用活動で見る目線のうち、より重要な「心」の部分です。なんとなく表面的に志望しているのではなく、あなたが人生をしっかり考え、ある意味生涯をかけて応募している、となれば、入社してから間違いなく頑張り抜いてくれると企業側は思うわけです。
第二は、各経験の説明への効果です。
あなたの周りには、自分の経験が普通過ぎて、周りの人が驚くような経験をしていないため、志望企業に入社する事が困難だと感じている方がいるかもしれません。しかし、そんな心配は無用です。なぜなら、企業から見て、すごい経験をしている学生はほとんどいないからです。
企業にとってすごいとは、普通は「将来の」利益貢献を意識するのに対し、新卒なのにも関わらず「即座」に利益貢献できる時間的な意味合いか、または将来「すごく」利益貢献する成長幅という意味合いとなります。学生であり本格的な職務経験がない以上、「即座」はほとんどあり得ません。研究開発などのこれまでやってきたことがそのまま生かせる場合のみです。
そして、将来「すごく」貢献するかどうかは、心の方がより寄与度が高いため、心の方が重要視されます。しかし、すごく貢献してくれると期待を持てるような経験は、例えば、何かの大きな組織のリーダとして、チームをまとめ上げ、特筆すべき成果を残した場合くらいでしょう。そのために、体育会系の主将などはどの業界でも重宝されるわけです。
企業にとっての「すごい」人材は、実はほとんどおらず、ごく一部の人である、ということが分かったと思います。そのため、企業は学生がどれだけすごい経験をしているのかは重視していないと言えます。
このように、経験の質が皆ほぼ同じで扱われる中で、企業は学生のどの部分を重視しているのでしょうか?それは、すでに説明した通り、企業はあなたが入社後に成長してくれると思わせる素養と心で評価されます。
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より具体的には、過去の経験からきちんと学び、それを自分の糧とし、自己成長を実現させているか
ということです。その結果としての現在の能力であり、過去の学習意欲と学習能力から、将来の能力を計るわけです。
したがって、あなたが意識すべきなのは、すごい経験がどうかではなく、自分の普通の経験から、「どれだけ学べているのか」と「それをどれだけ整理して言語化し自分のものにできているのか」
であるべきです。
マイストーリーの構築をしっかり行っていれば、自分自身についての理解が深いため、まさに「自分の経験からどれだけ学べているのか」、と「自分の経験をどれだけ整理して言語化できているのか」の部分で、なんとなく自己分析を行ったほかの人に対して、圧倒的なアドバンテージとなります。そして、自分の自己分析に自信を持てるため、質問に対して自信を持って答える事ができます。
この結果として、企業から、求める心と素養を持った人材だと判断されやすくなります。なお、経験の振り返り方は、B-7で実施します。これらの効果により、あなたの志望動機と経験どちらも、高い評価を受けることが可能となり、内定獲得の可能性が飛躍的上昇するわけです。これが短期的な効果です。
中長期的には、本質的な自己分析を行う事で、自分がどう生きたいかがわかり、それに適合したファーストキャリアがわかり、自分と志望業界や志望企業とのミスマッチを防ぐ事ができます。
これまで説明した、自分の人生における仕事の位置づけを考え、それと進路の種類(就職かそれ以外)や組織の種類(企業かそれ以外)と適合しているかを考えるという、自己分析の最初のプロセスをしっかりできていれば、自分の人生における仕事の位置づけと進路のミスマッチという最も本質的なミスマッチは防ぐことができます。
しかし、まだ、志望業界や志望企業と自分とのミスマッチが残っています。この部分のミスマッチは、自己分析をきちんと行いマイストーリーを構築し、それに基づいて業界や企業を評価することで回避されます。
なんとなくの自己分析しかしていない場合、出会った企業の中で、無理やり選びにかかってしまうため、前述のようなミスマッチが発生してしまいます。
このように、自己分析から導き出されたマイストーリーは、志望動機と各経験に深み・重み・熱さを付加し、他者にはない圧倒的な存在感を示すことができ、内定獲得の確率が飛躍的にあがります。さらに、ミスマッチは構造的にほとんど起こり得なくなります。これは、あなたの輝く人生を歩むために、とても大事なことだと思います。
次回は、いよいよ自己分析の今回であるビジョンの見出し方を説明します。
今回のポイント
1. 本質的な自己分析により、短期的には企業にマッチした素養と心の訴求により、他の就活生に比して圧倒的なアドバンテージを持てる
2. 本質的な自己分析により、中長期的には就職先企業・業界へのミスマッチをなくすことができる
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基盤とした名著
アドラーの思想は、過去の原因ではなく未来の目的を重視し、人間は自分自身の力で人生を意味づけ変えていくことができるという、ポジティブな人間観に貫かれています。
自分が人生の意味付けを決めて変えていくことができるからこそ、自分の持つ経験の意味付けをしっかり考える必要があることを示唆してくれます。