A-2 採用活動とは何か
採用活動とは投資だ
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名著の教えから導く就活の本質
就活というものをより深く理解するにあたって、次は企業にとっての就活がどんな意味合いを持つのかを考えてみます。
そもそも企業にとっての就活は、採用活動と言い換えられます。また、就労経験のない新卒を採用するため、新卒採用と言えます。
企業の新卒採用を見てみると、中々に残酷だと思う方もいるのではないでしょうか。
企業は、夏休みなどの学生の長期休暇ではインターンシップを開催し、それが終わるとひっきりなしに説明会やOB訪問といった広報活動を行います。その間、社員さんの熱意や優しさもひしひしと伝わるでしょう。しかし、採用面接になると、優しかった社員さんも候補者の個性を厳しく見極め、大量の学生に不合格通知のお知らせをします。このような体験をした先輩方もたくさんいます。
そのため、企業にとっての採用活動はどんな意味を持つのかという質問は、より具体的には、「なぜ採用活動はこれほど厳しいのか」という質問に置き換えて考えてみましょう。
その答えは、企業にとって採用活動とは、将来の自社の発展のために極めて重要な活動であるからです。将来の自社の発展のためには、将来自社に利益をもたらす見込みのある人材を採用
する必要があります。
より具体的には、あなたへの給料、採用、その他あなたに投下したコストと時間に対して、あなたが会社にもたらす利益がそれを上回るか、という「投資回収」の観点で見ているからです。つまり、あなたが企業の投資対象となり得るか見極めているのです。したがって、採用活動=投資
と言えます。
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では、そのコスト以上の利益貢献を求める時に、企業は学生をどのように見て投資を決めているのでしょうか?
将来利益貢献できるかを見極めるには、・あなたの将来活躍する能力があるか
・将来活躍する人材に成長するためにがんばれるか
この2点で投資材料を見極めます。
その2点において、社会人経験のない学生を見極めるために具体的に企業は学生の何をみているのでしょうか。
それは、「その学生がどんな思いを持っているのか」、「どんな経験をしてきたか」を聞くことです。
そのため、企業は、ES・面接といった様々な手段で、学生時代にどれほど頑張ったかの経験や志望動機を質問するわけです。
したがって、あなたに強く意識してもらいたいことは、企業が問う質問や選考プロセスの全ては、あなたが投資対象として適格かを確認するものである
ということです。
このようなことを意識せずに、なんとなく就活を始めてしまったとしても心配はありません。名著で就活による学習を通じて、就職活動というものに対する適切な理解と方法論を活用することで、投資に値する人材となれるはずです。
「あなたにとって就活とは何か」、「企業にとって就活とは何か」、について考えることで、就活に向けた覚悟ができたのではないでしょうか。
次回の記事では、「就職とは何か」を考えて、就職した後の社会人になるための覚悟を醸成していきます。
今回のポイント
1.企業にとって採用活動は極めて重要な投資である
2.投資される人材になるには「あなたの将来活躍する能力があるか」、「将来活躍する人材に成長するためにがんばれるか」の2つをアピールする必要がある
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基盤とした名著
野生の思考とは、眼前の事象を考える際に、その事象と別の事象との間にある関係に注目し、それと類似する関係性を持つ別の事象群を連想しつつ、それらを再構成することです。そして、それらの事象に異なる意味を与え、新しい「構造」を生み出せることを説いた名著。
その構造化と意味付けの思考の枠組みは、就活においても、就活に関する概念を構造化して意味づけしていく中でも大いに活用できるものです。その一つとして、本内容の採用とは何かの考察において基盤としました。