みずほ証券
みずほフィナンシャルグループ(みずほFG)の証券業務を管轄するみずほ証券について研究を行います。
-
みすほ証券は、みずほフィナンシャルグループであり、グループ内の証券業務を管轄しています。なお、新卒採用はオープン採用とコース採用の併用です。
会社概要
会社概要
1917年設立(1872年創業)
資本金 約1,251億円(みずほFGの100%子会社)
従業員数 連結7,541名
事業内容(事業部門)
会社ごとに差異があるため、本箇所は同社の採用HPより引用しています。
リテール・事業法人部門、グローバル投資銀行部門、グローバル・マーケッツ部門、リサーチ&コンサルティングユニット※マウスオーバーで拡大
●リテール
リテール・事業法人部門は、全国に広がる店舗網により、個人顧客から法人顧客まで幅広くカバーする体制を整備。みずほ銀行内の証券ブース(プラネットブース)を活用した、みずほ銀行、みずほ信託銀行との一体運営により、業界トップの国内262拠点(2018年6月30日現在、プラネットブース含む)のネットワークを活かし、単なる資産運用にとどまらず多様化するニーズに応えています。※マウスオーバーで拡大
●グローバル投資銀行
顧客の窓口となるカバレッジ組織と、専門性の高いソリューションを提供するプロダクツ組織から構成されています。資本市場を活用した資金調達や経営戦略に関わるM&Aアドバイザリーなどの投資銀行業務を通じて、複雑化、高度化、多様化する顧客のニーズに応えています。※マウスオーバーで拡大
●グローバル・マーケッツ
国内外機関投資家と国内事業法人・公益法人の顧客へ、債券や株式を中心に仕組債・私募ファンド・デリバティブなどのさまざまな金融商品の取引を提供し、海外現地法人のネットワークも活用した付加価値の高い多様なサービスを提供しています。※マウスオーバーで拡大
●リサーチ&コンサルティング
専門性の高い充実したリサーチャー陣による調査体制で、内外景気や業界動向、株式・金利・為替などをさまざまな角度から調査・分析し、各種レポートやセミナー・投資家イベント・メディアなどを通じて、さまざまな顧客へ提供しています。※マウスオーバーで拡大
国内外の機関投資家に対し債券ポートフォリオを構築するための投資戦略、国内外のマクロ経済分析・クレジット分析などの情報を発信している金融市場調査部と、個別企業や業界および経済全般の調査・分析を行うセクターアナリストやストラテジスト・エコノミスト・クオンツアナリストなどが在籍するエクイティ調査部の二部体制で構成されています。
●コーポレート
みずほ証券の中長期的な経営戦略、人材、財務や資金などの経営資源の配分・管理、リスクや与信管理などのコーポレートガバナンス、事業の基盤となるシステムや事務など全社横断的な役割を担っています。※マウスオーバーで拡大
>
歴史
現在のみずほ証券は、直接的には1917年の大阪商事に端を発します。大阪商事は1959年に大商証券となり、1967年には玉塚証券と山叶証券と合併し新日本証券となります。さらに2000年には和光証券と合併し、新光証券となります。※マウスオーバーで拡大
また、旧みずほ証券は2000年に第一勧業条件と興銀証券と富士証券の合併により設立しました。そして2009年に、新光証券とみずほ証券が合併し、新光証券を存続会社とし、みずほ証券に商号変更しました。
さらに、1872年創業の今村商店に源流が遡り、2000年に公共証券と勧角証券の統合によりみずほインベスターズ証券が設立しました。2001年には大東証券を買収したうえで、2013年にみずほ証券と統合し、現在のみずほ証券となりました。
みずほ銀行同様に、非常に多様な証券会社の統合を繰り返してきた歴史が特徴的です。
財務分析
基礎データ
一般企業の売上にあたる営業収益は安定していますが、利益に安定感がありません。2018年度は業界全体が市況悪化で業績が悪化しており、みずほ証券も大幅な減益となっています。一方2016年度はグループ内再編に伴う関係会社株式売却益が特別損益として計上されており、一時的に特殊事情で利益が増加しています。2017年度の利益が巡航速度の際の利益規模と思われます。営業収益や利益ともに業界第四-五位にあり、二位の大和証券の約半分です。同じ銀行系証券会社と概ね同じ規模です。
※単位:億円
※マウスオーバーで拡大
部門別収益
(金融費用控除後)
グローバル・マーケッツの収益の振れ幅が大きく、積極的にリスクを取って運用しているものと思われます。リテール・事業法人も同様に収益の振れ幅がある程度あります。グローバル投資銀行は安定しており、2019年度に至っては7割を占めており、中核的事業部門といえます。特にグローバル投資銀行部門が強い証券と言えます。
※単位:億円
※マウスオーバーで拡大※2018年度
※マウスオーバーで拡大
種類別収益
全体としてはバランスの取れた収益ポートフォリオです。2018年度は受入手数料が半分近くを占めており手数料ビジネスが強い状況です。投資銀行部門が中核であることから、投資銀行手数料が中心にあるものと思います。
※単位:億円
※マウスオーバーで拡大
※受入手数料:株式や債券を売買する際の仲介手数料、アセットマネジメント手数料(信託販売、運用)、投資銀行業務手数料で構成される手数料収入
※トレーディング損益:証券売買の差額により得られる損益
※営業投資有価証券関連損益:投資事業による損益
※金融収益:保有する有価証券の受取利息や配当金、有価証券貸借取引に係る収益
※2018年度
※マウスオーバーで拡大
地域別税前利益
公開情報はありません。
主な資産の状況
最後に資産状況ですが、担保付き契約、トレーディング資産・PE(プライベートエクイティ)投資が大きいです。野村證券同様に担保付き契約が最大ですが、大和証券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券がトレーディング資産・PE投資が最大であったことと比較すると、相対的にリスクを抑えた資産構成です。
※単位:億円
※マウスオーバーで拡大
※現預金:現金・預金と預託金の合計
※貸付金及び受取債権:約定見返勘定と短期差入保証金の合計
※担保付き契約:有価証券担保貸付金
※トレーディング資産・PE投資:トレーディング商品と信用取引資産とPE投資の合計
総じて、投資銀行部門の強さが特徴です。みずほFG自体が中期経営計画からもグローバル投資銀行化を志向していると推察され、その中核を担うみずほ証券の投資銀行部門は最もグループ内で注力している事業と思われます。
企業ストーリー
みずほ証券は、企業HP上で企業ストーリーに該当する内容がありません。
これは、One MIZUHOとして、みずほFG共通で企業ストーリーを共有しているためと解釈できます。
したがって、みずほFGの企業ストーリーの研究を参照ください。
中期経営計画
みずほ証券は、みずほFGの完全子会社であるため非上場会社であり、中期経営計画は公表していません。
みずほFGはOne MIZUHOとしてグループ一体経営を強く意識して行っていることを対外的に公表しており、そのため中期経営計画も一体でみずほFGとして公表しているものと思われます。
したがって、みずほFGの企業研究を参照下さい。
そのうえで、みずほ証券の採用サイトにて将来の方向性への説明がありましたので、そちらも併せて研究します。
みずほFGの中期経営計画を踏まえて、みずほ証券として特に注力していく対象を特定しています。
●グローバルビジネスの高度化
グローバルビジネス拡大のために、以下の施策を行っています。
①みずほ銀行との一体化(資本・オフィス)
②運営高度化(統合整理等)
③新規出店(ドバイ、ドイツ、ソウル)
④外部提携(スイス Lombard Odier グループのLombard Odier (Singapore)Ltdとの間で、ウエルスマネジメント業務に関する業務提携契約を締結)
●デジタルイノベーションの推進
デジタル技術を活用し、チャネルの拡大、運営高度化・効率化を図っています。
求める人物像の推察
求める人物像
企業ストーリー、歴史、財務分析、中期経営計画を統合すると、求められている人材は、内に秘めた情熱を持ち革新を追求しながらも、穏やかでバランスのある人材です。
もともとみずほ銀行はその合併元も含めて穏やかな社風であり、大きなリスクを積極的に取ることを好まない体質ですが、現在はリスクを取ってでも、変革を推し進めていこうという姿勢を明確にしています。その意味では、情熱とは野村證券が求める情熱とは異なり、内に秘めた思いを持ちながら、外面的には穏やかな人物が企業風土に即しているように思われます。
一部GCFなどの特定専門職採用には、そこに金融業務を行える知性を持つことが追加されるでしょう(グローバルエリート)。
キーワード
※マウスオーバーで拡大
-
まとめ
企業理解イメージ図
これまでの概要、歴史、財務分析(ビジネスモデル)、中期経営計画、企業ストーリーを構造化し、イメージ図に落とし込むと下図のようになります。
※マウスオーバーで拡大
スマート、おだやかといったイメージだと思います。豊かな実り、サービス提供力No.1、信頼というような言葉がキーワードとなります。
なぜこのキーワードになっているかというと、
①多数の証券会社の統合を重ねてきた多様性に富む歴史
②グローバル投資銀行部門が強い財務状況
③構造改革という地に足の着いた将来計画
から、構成されたものです。
特に歴史の影響が大きいようです。
業界内での志望理由
企業分解イメージ図を踏まえ、現在・未来・企業ストーリーの3階層を焦点に、業界内で同社を志望すべき理由を考えます。
1.投資銀行部門が中心の財務状況
(現在=財務状況から)グローバル投資銀行部門が強い証券会社。
2.構造改革という地に足の着いた方向性
(未来=中期経営計画から)構造改革という着実な将来計画。
3穏やかでありながら多様性に富み創造性にあふれた企業姿勢
((歴史から)多数の証券会社が統合してできた多様性に富む穏やかな企業姿勢。一方で、それらを一つにしてOne Mizuhoとして発展すべく情熱的な姿勢も併せ持っている。
宿題:各社のHP、IR資料、中期経営計画を熟読し、理解を深めましょう。
【出典】:2019年12月同社HP、2019年12月まで発表の同社決算短信、中期経営計画、その他同社公表資料