E-4 エントリーシートの方法論
鍵を握るのは「問いの分析と設計」
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名著の教えから導く就活の本質
前回は、良いESとは、投資対象として最適だというメッセージを伝えるために、問いを活用して、存在感があり全体で統一感をもって記載されたESである、と説明しました。今回は、実際の書き方について説明します。
まずはメッセージを受け取ることから始めます。
段階としては、問いの分析の段階、設計の段階、回答の段階と3段階
に分かれます。
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問いの分析の段階は、「ESの分析」と「求める像の抽出」の2つ
に分かれます。
「ESの分析」では、問いをよく読みこんだうえで、問に使われているキーワードから、求めている要素を抽出し、問いの順番と字数から優先順位を設定します。
「求める像の抽出」では、ESの分析で抽出した要素と優先順位から、ES単体で読み取れる求める人物像を描きます。
それを、事前の企業研究で行った求める人物像と照らし合わせます。
完全に一致しているならそのまま次のステップに進み、一部一致していないなら、どのように一致してないかを分析します。
基本的には、一致してない場合は、企業研究で抽出され求める人物像のうち、より焦点が具体化されたものとなります。
例えば、企業研究ではリーダーシップがある人だったとして、ESでは信頼だったとすると、リーダーシップでも、人から信頼されるリーダーシップと具体化されたことを意味します。
ESと企業研究の求める像が合致できれば、より焦点が明確になります。
リーダーシップという言葉も非常に抽象的で、どんなリーダーシップなのかわかりません。カリスマ的なのか、調整的なのか、背中で語るタイプなのか、能力的に抜けているのか、人間性なのか、など様々です。そのような抽象的な用語について、ESを活用して定義し焦点を定めます。
そのうえで、次はESの設計の段階です。ESの設計の段階は、「ストーリーの構築」と「回答設計」
に分かれます。
「ストーリーの構築」では、焦点が明確となった求める人物像にあわせて、マイストーリーを調整します。
表現や使用する経験とその経験の表現内容などです。
そして、ES全体として、求める人物像と適合していることを明瞭に理解してもらうべく、どんな思いを持っているのか、それがなぜその企業と深く交わっているのか、そのような自分になるために、どのような努力・経験をしてきたのか、その経験の内容はどんなものか、を整理します。
「回答設計」では、ES全体でのメッセージを伝達するストーリーが固まった後に、そのストーリーからどの部分を抜き出して、各問に答えるか、という各問の回答設計を行います。
抜き出した後に、表現や構成などを問いの表現や内容や字数に応じて、さらに調整します。
そして、最後に各問を記載するというステップです。
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したがって、良いESに至るためには、何よりもまず「問いを分析」することが大変重要
です。
そこから初めて、問いを分析し終わってもまだ書かずに、ES全体と各問の回答の「設計」
を行います。
そのあとに初めて記載を始めます。
一般的には、いきなり書き始めて何度も書き直したり、添削してもらったり、見てもらったりして書きながらブラッシュアップしていきます。しかし、その行動のほとんどが無駄なのです。そして、そのような無駄が発生してしまう構造的な要因は、問いを分析し設計していないからです。だから、正解が分からないままであるため、誰かに意見を言われるたびに変更してしまうのです。
これまで書いたESや今後書くESにおいては、書き始める前に、まずは問いを分析し、設計を行うことに全神経を持っていってください。そして、設計の段階で、先輩などに確認を取るのも一つの方法です。その上で記載を始めれば、今までとは全く違う書きやすさ、論旨の明快さを自分自身で感じることが出来るはずです。したがってあなたが周りに相談すべき内容は、記載の内容についてではなく、設計についてです。
それでは、次回から、問いの分析、設計、の段階ごとに、詳しく事例を交えながら、手法を説明いたします。
今回のポイント
1. ESの問いの分析と設計をしてから、初めて記載ができる
2. 問いの分析とは、ESの分析を行い、ESから導き出される求める人物像を企業研究と照らし合わせること
3. 設計とは 、マイストーリーを問いの分析の結果に合わせて調整し、さらにそれを各問いに合わせること
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基盤とした名著
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