E-2 エントリーシートの位置づけ
投資提案資料への変貌
-
名著の教えから導く就活の本質
就職活動が始まると様々な場面で、ESを提出することになります。
では、なぜESの提出を要求されるのでしょうか。あなたは考えたことはありますか。
就活生の中には、「とりあえず締め切りまでに、なんとか形にして提出しよう」、「完璧ではなくても、落とされることはないだろうから大丈夫だろう」、などと考えている方が多いようです。
あなたは、ESをとりあえず表面の論理だけ整えて提出すればよい面倒な作業と捉えてはいないでしょうか。
しかし、ESを軽んじると、選考で不利になってしまう可能性が高いです。
ESを軽んじてしまう原因は、ESをスクリーニングの観点でしか捉えられていないからだと思われます。
ここでのスクリーニングとは、1次審査として、次のステップに進む応募者を絞り込むために使用される「絞り込み」を指しています。絞り込みに当たっては、企業は、最低限の論理性などといった一定の基準をもとに、応募者のスクリーニングを行います。
しかしながら、実は、ESのもつ役割はそれだけではありません。ここが、就活生が見落としがちな観点であると思います。
その役割とは、「ESは面接における質問の素材という役割を持っている」
ことです。
企業は、面接時においては、ESの内容を深堀するような質問を行い、その質問を通じて、あなたを深く理解しようとします。表面の論理だけを確認する1次スクリーニングに対して、内容の吟味を行うより重要な使われ方をします。
どのような内容での吟味となるかは、企業の採用活動とは長期の投資であるため、投資対象として適切かどうか、の吟味となります。
したがって、1次審査を突破し、2次審査以降に進み、面接という段階に進むと、ESは「投資提案資料」になる
わけです。投資対象として適切かどうかの吟味の為に、素養と心を見極めるべく、投資提案資料たるESに沿って、志望や経験に関する様々な質問を投げかけられます。
そこでは、すべての質問に対して、自分に投資すべきだと説得をする必要があります。そのためには、「何をどのように答えるか」はもちろんこと、「どの点について質問してもらうか」、「どのような質問をしてもらうか」、「それらを通じて、どのように自分が投資対象として適格かを説得するか」、ということすらも考える
ことで最大限効果的な説得が可能になると思います。言い換えれば、短い面接時間の中で無駄なく最大限効果的に投資の説得を行うために、「質問をコントロール」
する必要があります。
※マウスオーバーで拡大
そのため、ESを単なる論理性チェックの一次審査で使用するものと捉えるのではなく、二次審査以降においては投資提案資料に変貌し、質問もそれに沿って行われる極めて重大なもの
と捉えるべきではないでしょうか。ESを上手く活用して、効果的な質問のみが出るようにコントロールすることで、最大限効果的な面接(プレゼン)を行うことができます。
そうでなければ、面接での投資説得が弱くなると思います。
例えば、その企業にとって説得的であるかも考えず、ESでなんとなくそれっぽい経験を列挙したとしましょう。列挙した経験の中には、その企業が評価しない経験あるかもしれません。あるいは、経験の種類は評価の対象にはなっても、その経験の焦点が、あなたが伝えたいものとは違った書き方をしてしまえば、質問自体が変わってしまうかもしれません。
このように、ES役割は、「スクリーニング」という役割だけではなく、投資提案資料としての「質問をコントロール」する役割の2つあることがわかりました。短い面接時間の中で無駄なく最大限効果的に投資の説得を行うため、ESを表面の論理に囚われずに、内容面にも気を配って、質問をコントロールできるように意識してください。
次回はこれまでの理論を踏まえて、良いESとはどんなものかを見ていきます。
今回のポイント
1. ESには、スクリーニングとしての役割と、面接における質問コントロールの役割がある
2. 就活生は、ESを投資提案資料だと捉え、質問をコントロールする事を意識すべき
-
基盤とした名著
五輪書の「火の巻」では、戦う場の特性を常に自分に有利にもっていく「場の勝ち」、戦いの主導権を握るための「三つの先」、さらに敵が打ち出す前に抑える「枕のおさえ」を説きます。
つまり、敵をよく知った上で、敵の構えを動かし、敵をゆさぶるための心理戦も駆使して、敵が崩れる一瞬を逃さずに勝つというもの。
確実に勝利に結び付けていく「勝利の方程式」を徹底的に追求しぬいた戦略・兵法の名著。
相手の目的を知り「場の勝ち」を実現するべく、こちらが勝てる戦場に相手を誘い込むための考え方の構築の基盤としています。