E-1 エントリーシートとは何か
企業からあなたへのメッセージ
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名著の教えから導く就活の本質
あなたは、ESを書く際に、各質問についてじっくり考えたことがありますか。質問をさらっと読んで、すぐにどのように書こうか、について考えていませんか。
多くの就活生は、問いを吟味することなく、どう答えるのかのみを意識していると思います。
しかし、ESをよく見てみると、志望理由を求めている企業と求めていない企業があったり、同じリーダーシップに関する質問でも表現が違ったり、あるいは質問内容は同じであっても、質問の順番や文字数が違ったりなど、企業によって違いは様々です。
では、なぜESの質問は企業によって特徴があるのでしょうか?
実は、ESの各質問には企業のメッセージが込められています。
その意味は、企業がどのようにESを作っているかのプロセスを見ればわかります。
企業は、ESの質問を作る際、新卒採用戦略をもとに考えます。新卒採用戦略は、企業全体で今年はどんな人材を獲得していくべきかを、人事部を中心に役員と何度も議論を重ねて作られます。その新卒採用戦略は、企業全体の人材戦略をもとに決定されます。人材戦略は、中期経営計画をもとに、現在そして将来どのようなビジネスモデルの事業を中心に行っていくかにより、必要な人材が定義され、決定されます。そして、中期経営計画は、企業理念に基づき最終的に判断されます。
つまり、ESを決めるにあたっては、最終的には企業のコアである企業理念にまでさかのぼることになります。なぜなら、企業の価値の源泉は人であり、人材の獲得が最も重要な活動の一つであるからです。そのため、企業側は、将来の発展の礎である新卒採用活動をきわめて重要視しており、その審査資料であるESを重要視しています。
それゆえ、質問の内容のみならず、質問の順番や文字数にすらも重要な意味を持たせている
わけです。
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ということは、ESとは、その企業が求める人材の要素がわかり、質問の順番・文字数によって要素の優先順位もわかる、「企業からあなたへのメッセージ」
と捉えることができるといえます。
質問の順番や文字数にすら意味がある、重大なメッセージなのです。
例えば、冒頭で紹介した、企業によって志望理由を求めている企業と求めていない企業のケースで考えてみましょう。採用活動で企業は素養と心を見ており、素養は経験から、心は経験に加えて志望理由からも見ています。この考え方に沿うと、志望理由の記載を求めていない企業では、あなたの素養が非常に重視され、志望理由を求めている企業は、あなたの心を重要視している可能性が高いです。
そして、文字数や質問の順番も同じように、企業のメッセージが伺えます。
たとえば、数ある質問の中で、志望理由が質問の1番目、かつ他の質問よりも1番多い字数を求めている企業があった場合は、心を最も重要視していることがわかります。 つまり、ESにおける質問の内容から、何をどのくらい重要視しているかの程度と優先順位が分かります。
このように、ESの質問には、企業の熱い想いが込められていることを学んだと思います。企業からの重大なメッセージをきちんと受け取れるように、質問にこそ意識を払いましょう。具体的な意識の払い方とその対応の方法論は本章で見ていきます。
今回でエントリーシートとは何かが分かったとこで、次回はエントリーシートの位置づけを考えます。
今回のポイント
1.ESとは、その企業が求める人材の要素と優先順位がわかる企業からあなたへの重大なメッセージ
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基盤とした名著
戦争についての記述はこの著作の最も注目すべき箇所であり、定義・本質・性質・現象など戦争に関する幅広い事項が議論されています。「戦争とは他の手段をもってする政治の継続である」という記述はこの著作の戦争観を端的に表したものの一つです。
クラウゼヴィッツにとって戦争とは政治的行為の連続体であり、この政治との関係によって戦争はその大きさや激しさが左右されます。
この教えと同様に、ESの定義・本質・性質・現象をつかみ、ESは就活の各ステップとの連続体であることを理解することを示唆してくれます。