C-3 企業研究のステップ
捨てる、選ぶ、検証する
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名著の教えから導く就活の本質
前回は、企業研究の目的は本当の志望先を見出すことであり、その内容は「自分のコアと企業のコアが合致しているか確認すること」と説明しました。今回は、その具体的な方法論について説明します。
企業研究の方法は、実は企業説明会や就活イベントに行くことだけではありません。というよりも、むしろ企業説明会や就活イベントに行く意義が発揮されるのは企業研究の最終局面なのです。
どういうことでしょうか。企業研究のステップを見ていきましょう。
企業研究は、マイストーリーとの整合を確認するという目的から、① 大雑把に整合を確認し業界を捨てる判断をする段階
② 細かく確認し有力業界を選ぶ段階
③ 業界内比較をし、有力候補企業を選ぶ段階
④ 選んだ候補企業や業界について、これまでのマイストーリーとの整合の確認が正しいかの検証を行う段階
の4つの段階に分かれます。
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第一段階は、おおざっぱに業界を捨てる段階なので、基本的な情報が分かれば判断をできます。業界の取捨選択の段階と呼んでいます。
第二段階は、残った業界から候補業界を選ぶ段階なので、少し詳しい情報が必要です。企業HP及びHP内にある資料を使って資料分析を行います。
第三段階は、候補業界内での志望の優先順位を定めるため、さらに細かい情報が必要です。この場合は、財務資料などが必要になります。
いずれも、企業HPもしくは企業HP内にある情報で、実はすべて情報収集を行えます。
したがって、この第一段階から第三段階までは、「机上分析」
で行います。
机上分析は、一見すると机の上だけで何の情報も手に入らないのではないかと思いがちです。しかし、情報取集という観点では、むしろ企業説明会よりもはるかに効率的です。なぜなら、企業説明会自体の時間や往復の時間をかける割に、企業説明会で得られる情報はすべてこの企業HPやHP内の資料で得られる情報であるからです。
企業説明会は、多数の人を対象に行われるため、そこで提示される情報は多数の人の最大公約数的な情報に収束し、結局HPで入手できる情報のみになります。HPで公開していないような重要情報は当然企業説明会では出ません。唯一、HPなどで得られない情報は、極めて細かい情報です。例えばどんな働き方をしているか、などです。しかし、この段階では細かい情報は不要です。したがって、第一段階から第三段階までは、全て企業HPやHP内の資料を用いて行う机上分析が、最も効率的です。
この机上分析により、自分の企業の評価基準と明らかに合致しない業界を捨て、その後合致する業界を選び、そのうえで志望する企業を選ぶところまで完了します。その後、机上分析の検証として、企業説明会で社員と会話するなどして、自分の企業に対する仮説や理解が正しいかの検証を行うわけです。これを、現場分析と呼んでいます。検証段階までは、企業説明会などの現場分析は不要なのです。
それゆえ、一般的な企業サーフィンだと、その目線がない中で企業説明会に行くだけでも無駄なことに終わってしまいます。さらに企業説明会を行うべき順序として、むしろ企業研究の終盤に仮説検証の場として行うべきところ、と捉えると大変非効率的であるわけです。 つまり、企業を絞り込むまでの段階は、机上分析を行い、質の高い多くの情報を丁寧に分析・整理していけば、十分に絞り込みの作業を行うことができます。
極めて効率的な方法と言えます。
今回は、企業研究のステップについて説明しました。候補企業を絞るまでは、机上分析を行い、その後に現場分析を行い、仮説検証をする、ということが有効であることが理解できたと思います。次は、第一段階の業界の取捨選択から、具体的な手法を説明します。
今回のポイント
1. 企業研究の順番は、業界研究→(個別)企業研究→業界内比較→仮説検証
2. 業界内比較までは机上分析をし、最後に仮設検証として企業説明会等を活用
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基盤とした名著
命題とはある存在するものについて分離または結合されていることを論理的に規定するもの。そして命題を構成する主語と述語の区別、判断の種別、対象や変形について考察されています。演繹的な論理思考を体系化した名著中の名著。
この演繹的思考の方法論を用いて、企業研究を分解しステップを構築しました。