B-8 ビジョンフレームワークの事例1
ビジョンフレームワークの完成形
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名著の教えから導く就活の本質
ビジョンフレームワークを見出すことが、本質的な就活の半分以上を占めます。
ビジョンフレームワークと導出のプロセスを理解すれば、あとはトライあるのみです。そして、あなたが心からこれだと思えるようになるまで、繰り返し行うしかありません。しかし、どんな質・細かさまでいけばよいのか、具体的なゴールのイメージがないと不安になるかと思います。そこで、ビジョンフレームワークの実例をそのプロセスを含めて提示します。
今回は、Life Doctor Campusを創設した当社の代表に、就活生のときのことを思い出して当時のビジョンフレームワークを提示してもらいました。なお、当社代表は、当時からほぼこの枠組みを考案して自身の就活でも活用していたそうです。当社代表は2011年入社で、リーマンショック直後の年でここ20年くらいでは最も就職率が低い冬の時代に就活を行う世代でしたが、第一志望群のほぼすべてにあたる8社の内定を獲得したそうです。
まずはおさらいです。
ビジョンフレームワークを行う際には、自分の人生における仕事の位置づけを自分の感覚で明確化し、その結果として進路は就職だとしたうえで行います。ビジョンフレームワークは下図です。
最初にやるべきことは喜びと苦難の経験を列挙し、それを分析して大事な価値観を抽出することでした。
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では早速内容に入っていきます。
まずは、「何に喜びを感じるか」について分析しました。自分の感覚で喜びを感じた瞬間を列挙し、その中で自分に影響を与えた重要な喜びを抽出します。結果、下図のように二つ抽出されました。その経験をそれぞれ、「どんな状況だったか」、「どんな環境だったか」、「そこから喜びを感じた条件はなんだったか」を分析しキーワードを抽出します。
このキーワードが大事な価値観です。
もう少し説明すると、環境は自分を取り巻いていた要素・性質を列挙します。そして、条件はその環境から、自分にとって「なぜ重要な経験となったか」の根拠・要素を抽出します。環境の中でも特に重要なもの、あるいはいくつかの環境の構成要素の掛け合わせで出てくるものです。したがって、環境と条件は一部同じになる場合もありますが、問題ありません。
言い換えれば、環境が客観的環境、条件がその経験が重要と判断した条件・根拠といった主観的環境とも言えます。
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つぎに、「何に憧れを感じるか」を分析しました。
自分の感覚で憧れを感じる人物を列挙し、その中で自分に影響を与えた重要な憧れを抽出します。結果、下図のように四つ抽出されました。
なぜ憧れているのかの理由=どこに憧れているのかを分析します。その理由・部分が大事な価値観です。
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簡単に書いていますが、もちろん列挙→分析→抽出を何度も繰り返し、自分で心から納得するまで思考を続ける必要があります。
喜びを分析した結果、下図の価値観が導き出されました。
この段階では、重要な経験から得られた言葉をそのまま選択・列挙しています。そして、それを太字のように抽象化して方向性を表現する言葉を抽出しています。
次の苦難の振り返りの後のステップでは、重要な個別経験から得られた言葉を、一段階一般化する段階です。一段階一般化しなければ個別経験にのみ適応する言葉に過ぎないからです。この一段階一般化するにおいて、太字の方向性を表現する言葉は、一般化する方向性の判断根拠となります。
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この価値観が、すべて自分にとって大切かの適切さ、漏れがないかの完備性を確認します。判断基準は自分が心から納得できるかどうかです。悩む場合は、自分をよく知る人に確認してもよいかもしれません。
喜びの次は苦難です。
同様に、まずは挫折(苦しんだこと)を列挙し、その中で自分に影響を与えた重要な挫折を抽出します。結果、下図のように二つ抽出されました。その経験をそれぞれ、「どんな状況だったか」、「なぜ挫折と感じたのかの理由」、「それに対して何を考えてどんな対応をしたのか」を分析しキーワードを抽出します。
このキーワードが大事な価値観です。
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つぎに、「コンプレックスは何か」を分析しました。
自分の感覚で憧れを感じるコンプレックス正直に列挙し、その中で自分に影響を与えている重要なコンプレックスを抽出します。結果、下図のように二つ抽出されました。「どんなコンプレックスか」、「なぜそれをコンプレックスと感じるようになったかの理由」、「克服のためにどんな対応をしたか」、を分析しキーワードを抽出します。
このキーワードが大事な価値観です。
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苦難を分析した結果、下図の価値観が抽出されました。
こちらでも同様に、個別経験から得られた言葉を抽象化し、太字の方向性を表現する言葉を抽出します。これも同様に、次のステップで個別経験による言葉を一段階一般化するに際しての方向性の判断根拠となります。
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喜びと苦難をまとめると下図のようになります。
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ここまでが山場です。ここにたどり着くまでに、心から納得できるものとなるよう繰り返し思考する必要があります。
そして、大事な価値観を列挙できたら、つぎはそれを種類で分類します。
価値観を帰納・集約して、さらに一段階上の自分の芯にあたる価値観にまとめます。
先ほど説明した、個別経験から自分の核・芯を表す言葉にするための一段階の一般化・抽象化です。
一般化に際しては、太字の言葉(個別経験から得られた言葉を抽象化した方向性表現する言葉、今回のケースでは「高みへ」「オリジナリティ」など)を、一般化においての言葉の選択や方向性の判断根拠として活用します。
検討の結果、今回の場合は、「絶対的」「情熱」「革命」「本質」となりました。
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こののち、重要なキーワード・各用語を自分なりに定義します。
今回で言えば、絶対的の定義が、「最強、高み、偉業・・・・」とありますが、それぞれの用語を自分なりに定義を行います。
ここの一つひとつの定義ができていないと、大事な価値観→何のために生きるか、の時に対象や方向性を抽出する材料に欠けてしまう可能性があります。非常に重要かつ時間がかかるところです。これ以上分解できないところまで分析して定義をします。
逆に、大事な価値観以降で思考が止まってしまう場合は、ここに立ち戻り一つひとつの言葉を定義してくと進む可能性が高いです。定義する際に、〇〇とは何か、その対象は何か、その方法は何か、などを考えます。
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しかし、この段階では、その関係性の整理までできない人も多いかと思います。
その場合は、芯にあたる価値観を「私は●●という価値観のために生きる」の●●に入れてその関係性を自分なりに整理していきます。
その際に重要なことが、それぞれの芯に当たる価値観を定義していくことです。この定義が先ほども述べたように山場です。芯にあたる価値観に含まれるキーワードから、より具体的に定義をしていきます。
それを行うと下図のイメージとなります。なお、いろんな順番で入れて試行錯誤して整理した結果を提示していますので、実際には自分の納得がいくように、いろんな順番で入れ込んでいく必要があります。
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最後に、構築した文章=芯にあたる価値観の関係性を踏まえて、自分で行った定義を加えていきます。そうすると結果として、「何のために生きるのか」「どのような人生を歩みたいか」そしてあなたのビジョンがまとまったものが出てきます。
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これを趣旨に合わせて分解し、自分として最適な表現になるように少し調整すると、下図のようになります。
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これでひとまずはビジョンフレームワークが完成です。骨子を取り出して完成図イメージを作るとすると下図のようになります。
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一度この枠組みが構築できれば、心から納得できるまで繰り返す必要があります。
価値観を抽出すること、集約した芯にあたる価値観の定義をすること、の二点が山場です。
これをよいものにするには、繰り返し思考・分析を行うしかありません。
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今回はビジョンフレームワークのゴールイメージを提示するために、実例を用いて説明しました。このレベルまで突き詰めることができ、かつ自分自身としてこれ以上ないというところまで納得できれば、ビジョンフレームワークはこれで完成となります。
ビジョンフレームワークがしっかりできれば、そのあとのマイストーリーの構築はスムーズにいきます。マイストーリーがきちんと構築されれば、「本当の自分」に出会うことができます。
そして、明確な志望先の判断基準が持てるので、的を絞った企業研究によって「本当の志望先」に出会うことができます。
さらに、自分と志望先のコアが結びついているので、あらゆる選考プロセスにおいて、深みがあり、唯一無二の説得力と印象を与えることができ、内定獲得の可能性が飛躍的に高まります。