B-4 ビジョンの見出し方
苦しみ抜いてはじめて見える本当の自分
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名著の教えから導く就活の本質
今回は、いよいよ本質的な自己分析の具体的な方法論に入ります。
これまでの本質的な就活、そして本質的な自己分析の考え方を踏まえて、マイビジョンの設定の仕方を具体的に説明します。
本質的な自己分析は、マイストーリーを構築し、本当の自分に出会うことでした。マイストーリーのスタートは、マイビジョンです。
マイビジョンとは、「理想の自分」です。どんな自分でありたいのか、どんな自分になりたいか、という質問への答えでもあります。言い換えるならあなたの夢です。これまで 20 数年間にわたり、様々経験をし、悲しいこと、苦しいこと、うれしいこと、などさまざまな感情を抱いてきており、あなたが目指すべきところあるいは目指したいところを決定する材料はあなたの中にすでにあります。その材料を拾い、要素を抽出し、ビジョンを言語化する、そしてまた材料探しに戻りブラッシュアップを行う、ということを繰り返し行うことで、だんだん固めていくことができます。
とはいえ、ビジョンを言語化するなんて、どのようにやればいいかわからない、という人が多いと思います。そこで当サイトではビジョンを言語化するにあたって、有用なフレームワークを独自に体系化しました。
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上記のフレームワークに基づき、順を追って解説します。
1. ビジョンを抽出するにあたり、まずあなたにとって「大事な思いや価値観」を抽出
する必要があります。そのためには、あなたに対してどんな経験が「喜びと苦しみ」を与えてきたのか
を考える必要があります。
2. 喜びと苦しみを与えた経験を列挙し、それはどんな喜びや苦しみだったのか(種類)、なぜそれがあなたにとって喜びや苦しみだったのかの理由を考えます。その際できるだけ、種類や理由を細かく分解することが大切です。
3. その種類と理由があなたにとって大事な「価値観」です。
4. 次はそれら「価値観」に優先順位をつけます。優先順位の付け方は、その価値観を得るに至った経験における喜びや苦しみの大きさで判断します。
5. 優先順位の高い「価値観」を、「私は◯◯という価値観のために生きる」という文の中に加えていきます。この際、文中のすべての言葉を自分が納得がいくまで定義し続け、徹底的に精緻に言語化していきます。これを繰り返すことで、「何のために生きるのか」というという問に対する答えにたどり着きます。このプロセスが一番の山場です。
6.「何のために生きるのか」の内容に沿って、それを果たすためには「どんな人生を送りたいか」を言語化していきます。
7. そのような人生を送るためには、「どんな自分でありたいか」を言語化します。これがマイビジョンとなります。
ビジョンが抽出されれば、ビジョンの具体的な内容であるミッションが考えられ、ミッションを具現化するために出すべきバリューもそれに続き、そのバリューを出すのに必要な能力や経験などの要素・そこに至るための成長条件を洗い出せば、それらがそのまま志望企業の選択における評価基準となります。これが、ビジョンフレームワークによるマイストーリー構築の方法論です。
これまで語られることなかった、「本当の自分に出会うための方法論」であるこのフレームワークをビジョンフレームワークと呼んでいます。しかし、誤解しないでいただきたいのは、このフレームワークさえあれば、簡単にビジョンが導き出されるというものではないことです。簡単にビジョンが出てくるような便利なものはこの世に存在しません。ただ、方法論もなく、がんばって自己分析しろ、では何をどうしていいかわからず、結局やりやすい経験の分析と強みを出す、という浅いところに留まってしまいます。どこに向かっていいかの道しるべがなく、闇雲に進むことはとても大変ですし、目的地にはたいてい辿り着けません。そのため、目的にすぐに着くどこでもドアは無理でも、目的地への道しるべは提示したいと、ドラッカーの名著を基に考案したのがこのビジョンフレームワークです。
就活はあなたの一度の人生の方向を決める大きな節目です。どうか、ビジョンフレームワークを活用して、悩んで悩み抜いて考えてください。今頑張ればその後の人生が全くかわります。あなたのやりたいことは決して天から降ってくることはありません。自分の中に眠る本当の自分を見つけてあげてください。
次回は、ビジョンフレームワークを実際に活用する具体的な方法論をご説明します。
今回のポイント
1. 本質的な自己分析への近道である、ビジョンフレームワークを活用しよう
2. フレームワークはあくまで道しるべ。本当の自分を見つけるには、繰り返し考えていく努力が必要。
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基盤とした名著
ビジョン・ミッション・バリューのフレームワークを提唱したドラッカーの名著。今やほとんどの法人が導入していますが、個人でも導入すべき普遍的なフレームワークです。Life Doctor Workでも個人の理念の構築に大いに資するため、導入・活用しています。
目標の設定と浸透、評価、組織の活用、コミュニケーション等、組織の最適化といった法人のマネジメントにおける枠組みを提示した名著。ビジョンフレームワークにおいても、同様の考え方を反映しました。