B-10 ビジョンフレームワークの事例2
ビジョンフレームワークの完成形
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名著の教えから導く就活の本質
※本内容は、ビジョンフレームワークを活用するプロセスを事例をもとに説明するものであるため、短縮はできません。したがってFull版と同じ内容の提示となります。
ビジョンフレームワーク使用例第二弾は、Life Doctor Campusでインターンをしていた人の事例です。以下、彼の視点からビジョンフレームワークの解説をしてもらいます。
僕がビジョンフレームワークに出会う前、就活の中でも自分が何をしたいのか分からず、露頭に迷っていました。事実、ESの設問でよくある「学生時代に頑張ったこと」、「志望理由」が書けず、短期のインターンの募集に応募しないといった状態になっていました。もちろん、既存の自己分析の方法を試しました。しかし、どこか上辺なところまでしか分析できず、納得のいく自己分析やES作りができませんでした。
何も表現できない苦しみの中で、僕はOB訪問でLife Doctor Campusを創設した代表と出会いました。自分の深層心理まで抽出し、整理できるビジョンフレームワークに強い感銘を受け、「これなら自分の志が見つかるはずだ」と思い、ビジョンフレームワークの使い方を学びました。以下では、僕がビジョンフレームワークをどう使い、なぜこんな自分でもできると感じたか説明していきます。
代表からまず言われたことは、「君の喜びと苦しみは何だったの?」でした。これまで就活どころか、友人にからすらも聞かれたことのない、シンプルながら深い質問に面食らってしまいました。そして、いざ応えようとすると何も答えられず、自分は自分のことすらも何もわかっていないのかと驚きました。
この質問の意義は、よくわかっているようで実は全然よく分かっていない自分自身の内面を整理し、価値観を抽出することです。価値観を抽出することは、A章の通り、就活で本当の志望先・進路を見出すには必要不可欠です。自分の価値観と合致する企業でないとイキイキと仕事に取り組めないからです。
そこまで深くやらなきゃいけないのかということと、こんなことも自分は答えられないくらい自分のことを実は自分のことをわかっていないのかということに衝撃を受けつつ、自分自身をきちんと理解するために、ビジョンフレームワークを学び、最初に自分の喜びと苦難の経験を列挙し、それを分析して大事な価値観を抽出しました。
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まずは、ビジョンフレームワークに則り、「何に喜びを感じるか」について分析しました。自分の感覚で喜びを感じた瞬間をライフステージに合わせて列挙しました。
・小学校時代
野球ゲームで弱いチームを使って強いチームに勝つこと
野球チームで自分の一打によって試合を決められたこと
・中学校時代
野球チームで相手の心理を読み、裏をかく配球ができたこと
野球を始めたばかり、もしくは野球が下手な人を指導し、その人が活躍すること
・高校時代
甲子園を通じて人に勇気と感動を与えられたこと
・大学時代
留学先で自分が書いた論文がクラスで1番の成績を収めたこと
上記の喜びの経験中で、特に自分に影響を与えた重要な喜びを抽出しました。分析の結果、「甲子園を通じて人に勇気と感動を与えられたこと」、「留学先で自分が書いた論文がクラスで1番の成績を収めたこと」が選択できました。以下で、分析のプロセスを見ていきましょう。
「甲子園を通じて人に勇気と感動を与えられたこと」
・状況
目標を達成した瞬間かそれによる影響のどっちが嬉しかったか考えると、県勢初の偉業で県民に感動を届けられたことが特に嬉しかったと思いました。周りに「ありがとう」と言われる度に身震いしていた経験が蘇ったからです。
・環境
喜びを感じるまでには、そこに至るまでのプロセスも関係していました。僕の場合、たくさんの人に無理と言われた目標に向かって、全ての時間を仲間と共に野球に注いだ環境だったなと思い出しました。
・条件
何が喜びの条件だったか振り返ると、「全てを懸けて志高い友と厳しい練習を乗り越えたこと」、「固定観念の打破したこと」、「自分の努力が人に感動を与えられたこと」が大きな要因だったかなと思いました。
これを導くまでに、「感動を与えられただけでも嬉しかったのかな?」、「いや、苦しい思いしたから余計嬉しかったはずだ。苦しみはどんなものだったかな?練習?周りの目?不遇な扱いを受けた時?等」様々なケースを分解した後、「周りが無理と思っていたことを覆し、無理と考えていた人までも感動を届けられた点が一番気持ち良かった」ということだとわかりました。
「留学先で自分が書いた論文がクラスで1番の成績を収めたこと」では、
・状況
留学先で成績不良から強制帰国の危機にあった中、適材適所に必要な個性を分析し、留学に対する熱い想いを伝えることで、教授や友人に助けられて達成したことが挙げられます。
・環境
ここもプロセスに分けます。最初は、誰も助けてくれない、日本語も使えない、成績も危機的状況といった何も頼れるものがない中でした。成績の悪さから、学事の人から帰国の提案までされました。そこから、自分で勉強しても足りないところとそこを補ってくれる教授やクラスメイトを特定しました。その後、留学に対する熱い想いを伝えることで仲間集めをし、仲間の得意分野に合わせて自分の勉強を手伝ってもらいました。結果、危機的状況を克服はもちろん、自分のエッセイがクラスで1番の成績を取れました。その時は、協力してくれた仲間と抱き合って喜びを分かち合いました。
・条件
何よりも嬉しかったことが、学事と一部の教授が僕に授業についていけないから帰国するべきと言われた中で、自分の言動で仲間を集め、尊敬する教授やその仲間が親身になって寄り添ってくれたおかげで、学事や一部の教授の考えを覆す結果を出せたことがとても嬉しかったです。つまり、諦めろと言った人の固定観念を壊せたこと、0から信頼できる仲間を集められたことが、何よりも大きな要因だったかなと思いました。※マウスオーバーで拡大
つぎに、「何に憧れを感じるか」を分析しました。
自分の感覚で憧れを感じる人物を列挙し、その中で自分に影響を与えた重要な憧れを抽出します。親、学校の先生、あるいは整骨院の先生といった身近な人でも大丈夫。
ここでも恥ずかしがらず、誰がカッコいいか、誰を追いかけてきたか、列挙していきました。
その後、なぜ憧れているのかの理由=どこに憧れているのかをそれぞれ分析しました。
その理由・部分が自分の大事な価値観だからです。
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安藤忠雄を例にすると、他の尊敬できる人と違う点は、「理不尽をもろともしないゲリラ的な生き様」、「その時代の考え方を壊し、後世に遺る業界の哲学や手法を残したこと」であり、それはそういった判断基準は他の人には当てはまらなかった為、安藤忠雄が一番憧れる人だと言えました。
僕は、一人で優先順位を決められなかったので、価値観が似ている親友に壁当てしてもらい、誰が一番憧れるか話していました。(友の知らない一面もわかるので、楽しい会話でした。)
喜びを分析した結果、下図の価値観が導き出されました。
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この価値観が、すべて自分にとって大切かの適切さ、漏れがないかの完備性を確認しました。判断基準は自分が心から納得できるかどうかです。
この段階では、重要な経験から得られた言葉をそのまま選択・列挙しています。そして、それを太字のように抽象化しました。「つまりこれって一言で言うと何だっけ?」と言う感じで。そうすると、後の本当に重要な価値観を出す際の方向性を表現する言葉になっていきました。
なお、次の苦難の振り返りの後のステップでは、重要な個別経験から得られた言葉を、一段階一般化する段階になります。一段階一般化しなければ個別経験にのみ適応する言葉に過ぎないからです。この一段階一般化するにおいて、太字の方向性を表現する言葉は、一般化する方向性の判断根拠として必要となるので、この段階で喜びの部分を太字のように一般化しておきます。
喜びの次は苦難でした。
同様に、まずは挫折(苦しんだこと)を列挙し、その中で自分に影響を与えた重要な挫折を抽出します。「辛かったことあったけ?」と思うことありますよね。僕も悪い思い出は忘れてしまうところありました。
そのため、僕は各学年で自分が所属していたコミュニティ(家族、学校、野球チーム等)に分けてどんな辛いことあったか、小さなことでもいいので列挙をしていきました。
その経験をそれぞれ、「どんな状況だったか」、「なぜ挫折と感じたのかの理由」、「それに対して何を考えてどんな対応をしたのか」を分析しキーワードを抽出していきました。
僕のゼミの例を考えてみると、苦しかったことは班対抗ディベートで中心メンバーとして活躍できなかったことが辛かったです。
次に、なぜ苦しかったかあらゆる観点で考えます。「何で中心メンバーがいいの?馬鹿なのはスポーツしてきたからと思われたくないから?」とか。最後に、苦しみを逃れようとなぜこんな活動をしたのか?僕の場合「ゼミを終えて、なぜ本を読むようになったのか」問いかけ、チームの中心として活躍するための思考力と人間力を補うためと考えたから始めました。
ここから、チームの命運を担う立場や本質的な力を求めている何だなと気づき始めます。※マウスオーバーで拡大
つぎに、「コンプレックスは何か」を分析しました。
自分の感覚で憧れを感じるコンプレックス正直に列挙し、その中で自分に影響を与えている重要なコンプレックスを抽出します。コンプレックスは表現するのを避けたくなるところですが、ここはぐっと堪えて自分と向き合いましょう。価値観はそう簡単に言語化できないものですので。
その上で、挫折と同じように「どんなコンプレックスか」、「なぜそれをコンプレックスと感じるようになったかの理由」、「克服のためにどんな対応をしたか」、を分析しキーワードを抽出していきました。
僕のハーフであったことがコンプレックスだったことを例に、そのコンプレックスを深堀してみます。すると、何で辛かったか?コンプレックスを隠していた小学校時代とそうでなくなった中学時代と比べると、隠す要因は僕の地方ではハーフは珍しく、その特殊な環境下で育まれた自分の価値観が同調圧力で抑圧されるからと思いました。だからこそ、中学校から今に至るまで個性的な友人と仲良くなったり、個性が埋もれていた人を発見し、それを伸ばすことを好んでやったり、と振り返って思いました。
ここから僕は、多様な個性、個性を引き出す事、に大事な価値観としているのだなと思うようになります。※マウスオーバーで拡大
苦難を分析した結果、下図の価値観が抽出されました。
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喜びと苦難をまとめると下図のようになります。
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ここまでが山場です。ここにたどり着くまでに、心から納得できるものとなるよう繰り返し思考する必要があります。
そそして、大事な価値観を列挙できたら、つぎはそれを種類で分類しました。
価値観を帰納・集約して、さらに一段階上の自分の芯にあたる価値観にまとめます。
先ほど説明した、個別経験から自分の核・芯を表す言葉にするための一段階の一般化・抽象化です。
一般化に際しては、太字の言葉(個別経験から得られた言葉を抽象化した方向性表現する言葉、今回のケースでは「感動」「リーダー」など)を、一般化においての言葉の選択や方向性の判断根拠として活用します。
今回の場合は、「人生が変わる感動」「全員リーダー」「既成概念を壊す」「本質」となりました。
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こののち、重要なキーワード・各用語を自分なりに定義します。
僕は、人生が変わる感動の定義が、「心躍る、勇気、人生が変わる・・・・」とありますが、それぞれの用語を自分の経験を軸に定義をしました。
例えば、
こ「感動」の中の「心躍る」とは、人が何かに挑戦したいと思える状態です。その理由は甲子園を通じて様々な人から野球を始めるきっかけになったとか、勇気をもらえたと言われたからです。それ以来、「心躍る」とは、「人が何かに挑戦したいと思える状態」と定義するようにしています。
「全員リーダー」の中の「本当の優しさ」で言えば、瞬間的な励ましよりも、その人の成長を願ってきついことも言ってくれることと定義しています。そう定義した経験として、大学の進路選択でうんうんとうなずく人よりも、本当に厳しいことをアドバイスしてくれた人の方が、自分のことを本気で考えてくれて、それこそが本当の優しさだと感じた経験をしたからです。
だから、本当の優しさとは、「他人を本気で思うからこそ厳しいことも言ってくれる人」と定義していきました。
喜びや苦難に関する自分の経験を分析していると自ずと定義はできます。ただ、ここの一つひとつの定義ができていないと、大事な価値観→何のために生きるか、の時に対象や方向性を抽出する材料に欠けてしまう可能性があります。
僕はこの価値観の抽象化の時、代表に「何でそう思ったの」、「本当にその経験が大事なの」などなど、質問に答えられず、一番辛い時間でした。その理由は、喜びや苦難に関する自分の経験を分析が甘かったことに他ありません。(正直、僕も途中で投げ出したくなる衝動に何度か駆られました。)
〇〇とは何か、その対象は何か、その方法は何か、などを分解できないところまで考えていくうちに、将来への覚悟や揺るぎない自信が生まれていきます。この覚悟と自信は、面接はもちろん入社後の配属面談で自分のやりたいことを伝える際に、人の心を動かす熱量として効果を大いに発揮してくれます。※マウスオーバーで拡大
しかし、この段階では、その関係性の整理までできない人も多いかと思います。
その場合は、芯にあたる価値観を「私は●●という価値観のために生きる」の●●に入れてその関係性を自分なりに整理していきます。
その際に重要なことが、それぞれの芯に当たる価値観を定義していくことです。この定義が先ほども述べたように山場です。芯にあたる価値観に含まれるキーワードから、より具体的に定義をしていきます。
それを行うと下図のイメージとなります。なお、いろんな順番で入れて試行錯誤して整理した結果を提示していますので、実際には自分の納得がいくように、いろんな順番で入れ込んでいく必要があります。
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僕の場合、全員リーダー、既成概念を壊す、本質、と言ったものは人生を変える感動を与えるための手段としての位置付けでした。だからこそ、最初は人生を変える感動を最初におきました。
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2番目は、自分を取り巻く環境の話です。つまり、どんなチームやどんな環境を作っていくかを意味しています。僕のケースでは、「全員リーダー」という価値観が当てはまります。全員リーダーとして活躍するようにしていくチーム作りをすると定義しています。環境づくりの話をしているからこそ、「全員リーダー」は2番目に当てはまると言えます。
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3番4番は、目的を叶えるため、自分が身につけるべき能力、姿勢です。僕の中では、「既成概念を壊す」と「本質」でした。
最後に、構築した文章=芯にあたる価値観の関係性を踏まえて、自分で行った定義を加えていきます。そうすると結果として、「何のために生きるのか」「どのような人生を歩みたいか」そしてあなたのビジョンがまとまったものが出てきます。
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これを趣旨に合わせて分解し、自分として最適な表現になるように少し調整すると、下図のようになります。
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これでひとまずはビジョンフレームワークが完成です。
骨子を取り出して完成図イメージを作るとすると下図のようになります。
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一度この枠組みが構築できれば、心から納得できるまで繰り返す必要があります。
「価値観を抽出すること」、「集約した芯にあたる価値観の定義をすること」の二点が山場です。
当時はこの二つの山場が正直辛かったです。ただ、自分の根底にある思いや感覚まで言語化しようとしていることは実感できるので、本当の自分に出会える楽しさも続けられた点でした。また、繰り返し思考・分析する方法をすることで、本質的な思考も向上していきます。実際に、面接で突拍子のないことを聞かれたとしても、瞬時に経験を列挙、抽出、抽象化することで、周りと差がつく回答をすることができました。
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今回はビジョンフレームワークのゴールイメージを提示するために、実例を用いて説明しました。ここまで読んだあなたなら分かる通り、価値観を見つけるには、経験を列挙し、経験の中の心の動きを分析し、その心の動きを抽象化して言葉を定義することの連続です。しかし、このレベルまで突き詰めることができ、かつ自分自身としてこれ以上ないというところまで納得できれば、ビジョンフレームワークはこれで完成となります。
実際に、僕は第一志望の内定を得ることができました。僕は、頭がいいわけでもなければ、体育会の主将などといった人に自慢できるような経験があるわけでもありません。ただ、このビジョンフレームワークを含めて、名著で就活を真剣に読み込み、自分は何か、何がしたいのかを自分の中では完璧に整理しただけです。しかし、それが自分の情熱・本気を伝え、説得力を構築してくれたために、第一志望に内定を得ることができたと確信しています。
僕のようなどこにでもいるやる気だけはある普通の学生でも、誰もが憧れるような第一志望の内定を取れることを身をもって証明できたと思います。本エントリーの作成依頼を受けたのは、まさに誰でもこのビジョンフレームワークを活用して、真剣に自分と向き合えば、志望先の内定を得られることを後輩たちに伝えたいからです。
ビジョンフレームワークがしっかりできれば、そのあとのマイストーリーの構築はスムーズにいきます。マイストーリーがきちんと構築されれば、「本当の自分」に出会うことができていきます。もちろん、一人でできないこともあります。そんな時は勇気を出して、友人でも、親でも相談してみると頭が整理されていくと思います。
そして、明確な志望先の判断基準が持てるので、的を絞った企業研究によって自分の大事にしている価値観と合致した「本当の志望先」に出会うことができます。さらに、自分と志望先のコアが結びついているので、あらゆる選考プロセスにおいて、深みがあり、唯一無二の説得力と印象を与えることができ、内定獲得の可能性が飛躍的に高まりまると強く言えます。