A-8 本質的な就職活動の効果 後編
ミスマッチを回避するには
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名著の教えから導く就活の本質
社会人3年目以内に3割が会社を辞めるという話を聞いたことがあるでしょうか。もちろん、それはキャリアアップという積極的選択による転職もあるでしょうが、ミスマッチという消極的な要因によるものも少なくはないかと思われます。
では、そもそも前回お話したミスマッチとはどういうものなのでしょうか?一般的には、ミスマッチとは、企業風土や指針と個人が合致しない「組織との乖離」、または上司や同期などの人間関係、業務といった「職場環境との乖離」と認識されています。
しかし、それはミスマッチのほんの1例でしかありません。まずはミスマッチの本質を理解することが大切だと思います。ミスマッチの本質を理解することができれば、一般的な意味でも、本質的な意味でもミスマッチは防止ことができるでしょう。
ミスマッチが持つ要素を考え、因数分解すると大きく2つに分けられます。
1つは、会社と自分とのミスマッチです。これが上で話した、一般的なミスマッチと認識されているものです。
もう1つは仕事と自分の人生とのミスマッチ
です。
この自分の人生と自分の進んだ進路とのミスマッチが、上に書いた一般的なミスマッチと混同されがちです。しかし、このミスマッチは、人生における仕事の位置付けと現在の仕事との乖離、志望と適正の乖離という2つの乖離が原因
となって引き起こされる、より本質的なミスマッチなのです。
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会社と自分のミスマッチは、自分の人生との乖離は発生していないため、同業他社に転職することによって解消されます。経験を直接生かせるため同業他社の転職なら可能性も高いでしょう。
一方で、自分の人生とのミスマッチは、自分の人生の方向性とのミスマッチであるため、大きく軌道修正が必要となります。大抵の人がキャリアを大きく変えるときは、自分の経験が生かせない可能性が高く、軌道修正ができない可能性が非常に高くなります。中には、大きくキャリアを変えた人もいるかもしれませんが、それはごく僅かの人だと思います。だからこそ、軌道修正ができない可能性が高いと言えると思います。
人生における仕事の位置づけが原因となる場合は、下図のように、大きく4つある仕事の位置づけにおいて、それらのうち重点を置くいくつかの要素が、就いた職業で達成できないことがあります。仕事が、金銭獲得手段でしかなく、その他の幸福ややりがいを全く享受できない場合もそうです。
例えば、競争的な環境に身を置いて自己成長をさせ自己実現をしようとしているにも関わらず、現状維持を使命とする保守的な業界などに就職してしまった場合などがこれにあたると考えられます。
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次に、志望と適正の乖離
によって引き起こされる仕事と自分の人生のミスマッチについて説明します。それは、自分が進みたい進路と、その職業における適正が自分にマッチしないということです。
例えば、経営に携わりたいと志望しそれらに携われる業界に入社したものの、実は自分の適性が物事を分析し考えることではなく、人をまとめることにあると入社後にわかり転職する、などといった事例がこれに当てはまります。
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これら自分の人生とのミスマッチという大きなリスクがある就職活動において、最善のかつ幸福な人生を送るために今できることは何なのでしょうか。
それは、マイストーリーを構築する本質的な就活を行い、自分の人生における仕事の位置づけの明確化を行うことで、適正と志望を的確に把握し適正と志望の乖離を回避することです。
またそれにより、自分の人生と仕事のミスマッチを回避することが重要です。自分の人生における仕事の位置づけ、自分の本当の志望と適正、を見出すことなしに、この自分の人生と仕事のミスマッチという大きな問題を解決することはできません。
したがって、あなたも、本質的な就活を通じて、自分が本当に“やるべきこと「やりたいこと」、「自分の適性」を明確に見出し、本当の自分と出会い、進むべき道を判断することが必要であり、それらを就活ペディアを踏まえて1つずつこなしていきましょう。
次回は、自分が本当にやるべき事、やりたい事を見出せない人たちに向けて、彼らが持つべき考え方について説明します。
今回のポイント
1. ミスマッチを因数分解すると、会社と自分とのミスマッチ、仕事と自分の人生とのミスマッチに分けられる
2. 特に、仕事と自分の人生のミスマッチをなくすために、仕事の持つ意味を自分の中で定義すること、志望と適正を見極めることが大切
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基盤とした名著
リースマンの分析では、習慣などの伝統に同調し無難に生きることを旨とする「伝統指向型」、どこかで植え付けられた目標や内面の声に従って人生を突き進もうとする「内部指向型」、外部からの信号に耐えず細心の注意を払い他者の気持ちを斟酌しようとする「他人指向型」の個人や組織や社会の型があるとしています。
これを踏まえ、自分はどの型なのか、それぞれ型への理解と思考を通じて、自分がどうなりたいのかを思考する。自分はどの型なのか、それぞれ型への理解と思考を通じて、自分の適性・志望やその適否が見えてくることを示唆してくれます。