A-6 本質的な就職活動とは
「就職活動の軸」という罠
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名著の教えから導く就活の本質
就職活動をするにあたって、就職活動の軸という言葉はよく聞く言葉だと思います。では、就職活動の軸とは実際に何を意味しているのでしょうか。どのようにすれば就職活動の軸が設定されるか理解しているでしょうか。
多くの学生は、就職活動の軸の定義をしないまま、志望先の面接を乗り切るために無理やり設定しているように見えます。
例えば、企業説明会を駆けずり回り、なんとなく見えた志望先に対して刺さりやすく、かつ自分の経験でなんとなく説明できる表現で就活の軸を設定するといったようなものではないでしょうか。
しかし、それはそもそも志望先の絞り込みをなんとなく行なった場合以下の現象が頻発してしまうと思います。
・就職活動の軸も志望先に向けてなんとなく作ったに過ぎない。
・表面的で薄い就職活動の軸のため、結局就職活動が進む中で、軸がブレる。
・結果、自分でも軸が良く分からなくななり、志望業界もコロコロ変わる。
そして、自分なりにぶれながら設定した就職活動の軸も、自分と志望先へのきちんとした理解のないままになんとなくで設定しているため、「日本のプレゼンスを高めたい」などという、抽象的でなぜそれがその人の軸なのかよくわからない仕上がりになってしまいます。
(背後に堅牢なロジックと経験があれば別ですが)
これを就職活動の軸という罠
と呼んでいます。
就職活動の軸の設定に意識が行くあまり、本来あなたが素晴らしい人生を歩むためにどこに就職すべきかという目的に対して、それを選ぶための手段であるはずの就職活動の軸が目的化してしまい、逆にうまくいかない、ということを意味します。
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たしかに、いたるところで、「就職活動の軸を設定しよう」と言われるため、そのような意識になってしまうことはよくわかります。しかし、就職活動の軸の罠にはまっている状況では、結果に結びつかないことが上記の例で理解できると思います。
そのため、就職活動の軸の罠を回避し、本当の軸を抽出し、本当の志望先を選定するには、まずは就職活動の軸とは何かをきちんと考える必要があります。就職活動の軸とは、自分の人生がどうありたいかを思い描き、それを実現するために、ファーストキャリアとしてどこに就職するべきか、を判断するための判断基準
です。そもそも、ファーストキャリアが自分にとってどういう位置づけなのか、を考えることなしに、どこが最適なのかの判断はできませんし、どんな人生を送りたいかを考えることなしに、ファーストキャリアの位置づけを判断することもできません。
つまり、就職活動の軸の本当の意味は、「自分の人生の軸」を意味する
のです。
では就職活動の軸=人生の軸とは何なのでしょうか。
それは、将来どうなりたいのか、どんな人生を歩みたいのか、という自分のビジョンからスタートし、そのためになすべき使命、使命を具現化するために出すべき価値、価値を出すために修得すべき能力・要素で構成
されるものです。
そして、この修得すべき能力・要素こそが、ファーストキャリアを選択するときの判断基準となります。
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言い換えれば、将来目標とそこに至る大まかなプランです。このプランなしには、何が最適なファーストキャリアかを判断できません。なんとなくで選ぶほかなくなってしまいます。そうなってしまうと、冒頭に述べたような就職活動の軸の罠にはまってしまいます。
運よく内定をとれたとしても、内定獲得自体を最終目標に設定してしまっているため、入社後のミスマッチが高い確率で発生します。
就職活動は、今後の人生の方向を一つに絞り込む重大かつ困難な人生の岐路である、と説明しましたが、まさに就活とは人生を決める活動です。したがって、自分の人生を考えることなしにきちんとした就職活動とは言えません。
今回示した、就職活動の軸=人生の軸を設定することこそが本質的な就職活動
です。
この就職活動を軸を定めるプロセスというのは不透明かつ、きっちりとしたフレームが存在しないことから、理論では理解できていても実践まで落とし込めないという人が多いと思います。そのため、後の記事でこれらについて深く言及します。あなたが本当の志望先を見つけ、輝く人生を歩むことができるよう、自分の心の奥に根差した本当の意味での就職活動の軸を見出せるよう、本質的な就職活動を行いましょう。
次回は、なぜ本質的な就職活動を行う必要があるのかについて説明します。
今回のポイント
1. 就職活動の軸=「自分の人生の軸」
2. 人生の軸はどんな人生を歩みたいのかという自分のビジョンからスタートする。
3. そのためになすべき使命、使命を具現化するために出すべき価値、価値を出すために修得すべき能力・要素で構成されるもの。
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基盤とした名著
著者の神谷美恵子が、岡山県のハンセン病療養施設「長島愛生園」で、ハンセン病患者たちに寄り添いながら神谷が見つけたのは、「苦しみや悲しみの底にあってなお朽ちない希望や尊厳」。ハンセン病患者たちの姿に照らし出されるように、神谷は、「生きがい」の深い意味をつかみとっていった。
この書は、日常を平凡に生きている私たちが「生きがいをいかにおろそかにしているか」「生きがいを奪い去られるような状況に直面したときいかにもろいものか」を問いかけます。生きがいがもつ力を理解し、生きがいを見出す本質的な就活を行うことが重要だと示唆を与えてくれます。