A-5 何が就職活動を成功させるか
成功要因は本質的な思考力
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名著の教えから導く就活の本質
就職活動を成功させる要因は様々あると言われますが、本質的に就職活動を成功させる要因は、一体何でしょうか。また、そもそも就職活動の成功とはなんでしょうか。
一般的には、就職活動の成功は、第一志望群への内定だと思います。
第一志望群を導き出すにあたって、これまで説明してきたように、就職活動を重くとらえ、きちんと自分と向き合い続け、本当の自分に出会い、本当の志望先を見いだせたならば、第一志望群への内定は大成功と言えます。
そうではなく、あまり重く考えることなしに、なんとなく企業説明会に行った中で、一番惹かれたところを選んだ浅い就職活動の場合は、成功とはいえないのかと思います。
では、就職活動の成功の定義が、本当の自分に出会い、本当の志望先を見出し、そこに内定を得ることであるとすると、成功要因は何になるでしょうか。
それは、本当の自分に出会うための、「本質的な思考力」
です。
本質的な思考力とは、言い換えると「創造的思考力」
であり、創造的思考力とは、「価値観に根差した深い思考をもとに、意味と意義を突き詰めて考え、問いを見抜く力」
です。
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就職活動における本質的な思考力とは、「自分の哲学や価値観を踏まえて、自分の人生の意味と意義を突き詰めて考え、自分は何のために生きるのか、どんな自分になりたいのか、どう生きたいのか、という本質的な問いに答え、そのうえで、ありたい自分になるためには、どんなステップで人生を歩むのか、ファーストキャリアとしてどんな環境や条件の先に行くべきかを考える力」と表現できます。
これまで説明の通り、就職活動が、そもそも人生の方向を大きく絞る意思決定局面である以上、本当の自分の思いをきちんと知ることなしには、最適な進路は選ぶことは難しいと思われます。
本当の自分の思いを知るには、「何のために生きるのか」、「どんな自分になりたいか」、「どう生きたいのか」、そして、「人生における仕事の位置づけ」を自分に問い続ける必要があります。
しかし、そのような本質を考えることは、これまであまりやったことがないと思います。それゆえ、苦しく、つまらなく、すぐに答えが出るものでもないため、よくわからないと思います。
結果、そこそこに投げ出してしまう、あるいは浅いところでやった気になる人が多発しています。そうなってしまうと、本当の自分には出会えず、本当の進路にはたどり着くことが難しくなってきます。
やはり、「自分が本当にどうありたいか」、「そのためにどうするべきか」という問いに正面から向き合う必要があります。大丈夫です。名著で就活でそれを考えるためのフレームワークを用意したので、 B-4でしっかり説明していきます。それをベースに自分だけのキャリア設計をしていってください。
次回は、なぜ本質的な就職活動を行う必要があるのか、本当の自分に出会えず、本当の進路に行けなければどのようなことが起こるのか、について説明します。
今回のポイント
1. 就活を成功させる、本当の自分に出会うために必要なのが、本質的思考力
2. 本質的な思考力」=「創造的思考力」
3.「創造的思考力」=「価値観に根差した深い思考をもとに、意味と意義を突き詰めて考え、問いを見抜く力」
4. 本質的な問いから逆算して、ありたい自分になるためには、どんなステップで人生を歩むのか、ファーストキャリアとしてどんな環境や条件に身を置くべきかを考える
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基盤とした名著
アフォーダンスは、動物(有機体)に対する「刺激」という従来の知覚心理学の概念とは異なり、環境に実在する動物(有機体)がその生活する環境を探索することによって獲得することができる意味/価値であると定義されます。つまり、事物への意味・価値は有機体によって恣意的に獲得されるものとしています。
ここから、よりよい人生のために真理や人生の意味・価値を獲得しようとする意志・思考こそが重要であるという示唆が得られます。
社会のいたるところに充満しつつある大衆。彼らは「他人と同じことを苦痛に思うどころか快感に感じる」人々としています。急激な産業化や大量消費社会の波に洗われ、人々は自らのコミュニティや足場となる場所を見失ってしまっています。その結果、もっぱら自分の利害や好み、欲望だけをめぐって思考・行動をし始め、自分の行動になんら責任を負わず、自らの欲望や権利のみを主張することを特徴とする「大衆」が誕生したとしています。
20世紀にはいり、圧倒的な多数を占め始めた彼らが、現代では社会の中心へと躍り出て支配権をふるうようになったとオルテガは分析し、このままでは私たちの文明の衰退は避けられないと警告します。
オルテガは、こうした大衆化に抗して、自らに課せられた制約を積極的に引き受け、その中で存分に能力を発揮することを旨とするリベラリズムを主張します。
そして、「多数派が少数派を認め、その声に注意深く耳を傾ける寛容性」や「人間の不完全性を熟知し、個人の理性を超えた社会全体を考えその伝統や良識を中心にすえる思想」を、大衆社会における民主主義の劣化を食い止める処方箋として提示しています。
現代もICT技術の発展で大衆の声に力が宿り、類似した状況となってきています。この状況下で、オルテガの主張するように、制約や役割や社会的意義を思考して行動する必要があることを示唆してくれます。