A-4 なぜ就職をするのか
イキイキと仕事をする人生にするために
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名著の教えから導く就活の本質
社会を見ると、様々な形でモチベーションを持った人や、様々な社会貢献の仕方があるとわかると思います。にもかかわらず、これから就活を始めようとしている人、もしくは就活を始めた人の中で、「周りが就活をしているから、自分もやる」という理由で、なんとなく就活している人を見たことはありませんか?もしあなたもその一員だった場合、どんなモチベーションでどんな仕事に就くか自分なりに考えてみませんか。
それは自分の価値観にあった仕事をすることが非常に重要だからです。
通勤・帰宅ラッシュの際に、こんな人を見かけたことがあると思います。くたびれたスーツを着て、下を向いたまま魂が抜けているような人です。長い人生の中で、そんな時間を過ごす大人になりたくないと思うのではないでしょうか。
では、なぜ彼らはそのような状態に陥ってしまうのでしょうか?それは、なんとなく仕事を始めて、その仕事が自分に合わないと気づいても、生活費のために嫌々仕事をしているからだと考えられます。
自分に合わないとは何でしょうか?それは、その人の仕事の位置付け(モチベーション)と、今現在行なっている仕事との位置付けが合っていないことだと思います。下の図を見てください。
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仕事の位置付けは、図のように「生活費の獲得」だけでなく、「自己実現」、「富・名声」、「居場所の獲得」があります。右上の自己実現は、自分の在りたい姿、社会に生み出したい価値の創出を達成することです。右下の居場所の獲得というのは、身を置いて心地のいいコミュニティの獲得であったり、それらを通じて構築した人間関係を生きがいの一つにしたり、ということがあげられると思います。
あなたは4つの要素を1つ1つ吟味し、自分なりのモチベーションのバランスを構築
する必要があります。モチベーションのバランスは、4つ均等でも良いですし、1つに偏っていても大丈夫です。理想は自己実現と仕事が繋がっていることだと思います。
重要なのは、4つの要素について、自分にあったバランスを考えることです。
加えて重要なのが、自分の人生における仕事の位置づけに適合した業界や業種に就くようにせねばなりません。そうすれば、たとえ毎日大変な仕事でも生き生きと仕事に向き合うことができます。
先ほどのくたびれたスーツの大人の事例を見ると、自分の人生における仕事の位置付けが金銭獲得以外の方が重要であるものの、現在の仕事では金銭獲得しか充足していないため、嫌々仕事をしていると理解できます。
逆に言えば、自分の人生における仕事の位置づけが、金銭獲得のみであると明確であれば、嫌々する仕事にはなりません。淡々とする仕事になるはずです。
人生における仕事の位置づけと、現在が適合していないからこそ、モチベーションが上がらない日々を送る羽目になってしまっていると思われます。
仕事の位置付けを考えた上で、それを自分の進路と適合させるために重要なことは、どの進路の種類を選択すべきか検討することです。言い換えると、就職と、それ以外の進路が最適なのかを吟味することです。
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就職とそれ以外の進路を検討した上で「就職」を選んだ場合、まだ組織の種類の選択が残っています。具体的には、モノやサービスを提供していく「民間企業」なのか?法律や政策のように枠組みを立案・運用する「公的機関」なのか?はたまた、社会的弱者を救うNPO・NGOなのか?
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なんとなく企業への就活を始めた多くの人は、この点を十分に吟味できていないと思います。この点を割愛してしまうと、人生における仕事の位置づけに対して、どの種類のどんな組織への就職が最適な進路なのか、就職してからでなければわからなくなってしまいます。
Life Doctorsのメンバーもビジネス現場で、モチベーションを発揮する手段が業界や職種に合わずに、困っている人をよく見てきました。このタイミングできちんと検討し、あなただけの位置づけに合う進路を選ばないと、やはりくたびれたスーツを着た魂の抜けた大人になってしまう可能性が上がってしまうと思われます。イキイキと仕事をする人生にするために、自分の人生における仕事の位置づけを考え、それに適合する進路の種類(就職かそれ以外か)、組織の種類(企業かそれ以外か)を考える
ことが大切です。
ここまでは、いかに就職することが重要かを述べてきました。では実際に、次回からは何が就活を成功させるかについて、答えを見つけ出しましょう。
今回のポイント
1.「生活費の獲得」、「自己実現」、「富・名声」、「居場所の獲得」といった要素を自分の中で整理し、自分なりのバランスを構築すること。
2. 自分のモチベーションに適合する進路の種類(就職かそれ以外か)、組織の種類(企業かそれ以外か)を吟味すること。
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基盤とした名著
人間は現実環境、擬似環境、行動の三角形の中で活動するとしています。リップマンはさらにこの三角関係を方向付ける固定観念の存在も指摘しており、これをステレオタイプと呼んびました。ステレオタイプを克服するためには、隠れた事実を表面化させて相互に関連付け、行動するために必要な現実的な擬似環境を構築する機能が必要だと考えていた。この機能をリップマンは真理の機能と強調している。
ステレオタイプに何となく就活を行うのではなく、就活を行うことの本当の意味=真理を見出すことが、短期的にも長期的にも納得のいく人生を歩むために必要だということを示唆してくれます。