A-3 就職とは何か
価値提供をする立場になるということ
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名著の教えから導く就活の本質
就職するとは社会人になるということです。しかし、そもそも就職とは何でしょうか。社会人とは何でしょうか。
ここでは、「就職する」ということや社会人になることは何を意味するか考えます。
「就職する」は、一般的には「ある組織の一員になること」と考えられていると思います。
しかし、より深く考えてみると、組織の一員になるだけなのであれば「入社」という言葉で十分なはずではないでしょうか。
では、なぜわざわざ「就職」という言葉を選んでいるのか考えてみましょう。
本来あるべき就職の定義は、組織に所属し、組織を通じて「クライアントに価値を提供し、対価を得る立場になること」だと思います。
簡単な企業間取引の例で考えてみましょう。企業は、すべからくクライアントに価値を提供し対価を得ることで、利益を獲得する組織体です。したがって、就職とは、「その企業の一員となったうえで、クライアントに対価を支払わせるだけの価値を提供すること」であるべきではないでしょうか。
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つまり、一般的な就職の定義では、組織の一員になった後に果たすべき「価値提供をし続けるプロフェッショナルとしての責務」が抜けた軽い定義になってしまっているということが言えると思います。
さらに、一度就職すると、組織からは、常に価値を提供することが求められます。しかしながら、常に価値を提供し続けるその道のプロフェッショナルになることは、簡単な道ではありません。それゆえに、クライアントに価値を提供する立場が大幅に変わってしまう、いわゆるやり直しは簡単にはできません。
常に価値提供ができる人になる覚悟を作るために、就職とは何かについて、一般的な定義ではなく、「就職とは、組織に所属し、クライアントに価値を提供し続けるプロフェッショナルの立場になることである」と定義してみましょう。
また、就職した後によく聞く言葉で、社会人という言葉があると思いますが、「社会人」とは一体何を意味するのでしょうか。
あなたが就職をすると学生時代まで経験してこなかった支払いが山ほど出てきます。納税(所得税、住民税等)、生活費(家賃、光熱費等)、子供が生まれると養育費などです。それでも、あなたのご両親や親戚の方が、仕事を頑張り、納税を行い、生活費や養育費を負担してくれたおかげで、衣・食・住の充足含め、自由に習い事や娯楽に打ち込むことができる環境があったと思います。
つまり、権利や自由を謳歌するためには、お金を稼いで納税、生活費、養育費などの支払い義務を果たす必要があると言えるのではないでしょうか。
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このことから、社会人とは、就職して価値を提供して対価を得る立場になったうえで、納税や生活費や養育費などの支払うべき費用の負担を行い、自身の力で生計を立て、自由を獲得する立場である
、と定義できると思います。価値提供をする立場になるという意味での就職をし、自分の力で自由を獲得する立派な社会人になるという責務
があります。一見大変そうには思えるかもしれません。ただ、「自分は何をして、会社や社会に貢献していくか」を徹底的に考え込み、自分に合った職業見出す
ことで、そのような責務もむしろ楽しめるようになれると言えます。
人生における就活・就職の重さ、社会人になることの重さを感じられたでしょうか。
では、次回では、そもそも「なぜ就職するのか」を題材に、自分はどんなモチベーションで、そしてどんな職業で社会の貢献の仕方をしていくのか深く考えていきましょう。
今回のポイント
1. 就職とは、クライアントに価値を提供し続けるプロフェッショナルの立場になること。
2. 社会人とは、自分の力で支払い責務を果たし、自由を獲得する立場であること。
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基盤とした名著
バーリンが言う消極的自由とは、各個人による活動が他人によって干渉されない状態であり、また自分のありたいようにある状態です。対して積極的自由とは、自分自身を自分の意思的行為の道具でありたいという願望に起因するものです。
これを踏まえ、就職・仕事を「消極的自由」と位置付けるか「積極的自由」と位置付けるかを考えることが肝要です。これは言い換えると、人生における仕事・就職の意味を考えることです。