A-1 就職活動とは何か
失敗の許されない難しい意思決定局面
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名著の教えから導く就活の本質
大学3年生から多くの学生が就職活動(以下、就活)を始めますが、そもそも人生において就活とは何を意味しているのでしょうか?就職活動は社会人になるための1つの手段だったり、人生の岐路だったりと思ってはいるものの、周りも就活しているからと言う理由で自分もなんとなく就活をしているのではないでしょうか?
しかし、人生における就職活動の意味や位置付けをしっかり考えることで、「あの時しっかり考えておいてよかった」といえる自分になれます。そこで、これまでの人生を振り返りながら、「就職活動とはあなたの中で何を意味するから人生の岐路なのか」を考えましょう。
就活とは人生の岐路と言いましたが、あなたにとって今までの人生の岐路はどんな場面でしたか。おそらく、これを読んでいる就活生は、進路を決めるための大学受験というものが大きな岐路になっていたかと推測できます。
しかし、「受験を何の為にしてきたか」という問いにきちんと考えたことはあったでしょうか?就活と比較する意味で、受験もしっかりと考えてみましょう。
受験とは、「その後の進路の選択肢を広く持つ為」にあったのではないでしょうか。
受験をして合格し、卒業すると、様々な業界や様々なレベルの企業への就職、就職以外の進路が広がります。受験とは「人生の選択肢を広く持つこと」であると私たちは思います。
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他方、就職活動はどうでしょう。
就職活動というものは受験とは真逆だと思います。受験に比べ、就活は「選択肢を狭め人生の方向性を絞る意思決定の局面」であるといえると思います。
例えば、もしあなたが新卒で金融機関に就職し、後から自分のやりたいことがマーケティングの分野だと気づいたとしましょう。しかし、ここであなたが転職活動をしても、同業界か他業界のコーポレート部門となる可能性が高く、マーケティング部門に転職できる可能性は非常に低いといえます。
なぜこのようなことが起きるのか。
それは、転職では即戦力が求められるからです。即戦力を求める以上、これまでの職歴で採用可否を判断されます。このため、後から「自分のやりたい事」を見つけたとしても、進路を変えられず苦しむ人
がたくさん出てしまいます。
このように、実は新卒における就職活動は、失敗の許されないとても難しい意思決定局面
といえます。
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では、失敗ができず、かつ初めて、という二重の意味で難しい意思決定局面である就活において、後戻りができない失敗をしてしまうという悲しい状況を防ぐために何をすべきだと思いますか?
のちのち様々なカテゴリーで考え方や方法論を紹介しますが、それを行う最初の極めて重要な第1歩が、・就活とは、自分の人生の方向を絞る極めて大事な意思決定の局面だと重くとらえること。
・就活とは、「生まれて初めて」自分の人生の方向を絞る決定であるために、過去に経験がなく、極めて難しい意思決定であること。
この2つを理解することだと思います。
そのうえで、「自分が本当にどうなりたいか?」
と言う本質的な問いに答える事こそが、就職活動を成功に導く方法だと強く思います。
そうすることで、ありたい自分にあった仕事・環境を考え抜き、ファーストキャリアをどうするか定めることができます。
もしこの本質的な問いに答えられないと、一度就いた業界・業種はなかなか変更でません。
就活とは、初めて人生の方向性を大きく限定する難しい決断
だということを理解すると、あなたの就活というものの持つ意味合いも変わってきたのではないしょうか?
精神的に就職活動に向けた覚悟を持つことで、自分の行動が変わってきます。そのためには、自分なりに就活に取り組む理由をここからしっかり考える必要があります。
そこで、もう少し就活の重さを理解するために、次回で企業にとっての就活とは何を意味しているのか考えてみます。
今回のポイント
1.多くの大学生が現在に至るまでしてきた進路を決める意思決定は人生の選択肢を広げるため
2.逆に就活は生まれて初めて人生の方向性を絞る極めて重要な局面
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基盤とした名著
本書では、サービス産業の拡大によって、他者への気配りと配慮を旨とする労働を「感情労働」が一般的になっていると指摘します。組織による感情規則や感情管理により、労働者個人が感情労働を自分自身で制御できなくなっているといいます。そして、「自然な感情=いったい自分は本当は何を感じているのか?」に価値が置かれ、感情探しが恒常化する構造になっていると分析しています。
就活も同じ枠組みにあり、どこに道を進めれば、自分の自然な感情に出会えるのかを思考する必要があります。それが幸福や人生を大いに左右するからです。そのため、本書を本内容の基盤としました。