業界内比較
(外資系)投資銀行
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外資系投資銀行の業界研究にて、投資銀行の各職種の業務内容を深く理解頂けたと思います。どの職種とするかが決まれば、次はどの順位で外資系の投資銀行を志望するか、を考える必要があります。
そのために、外資系投資銀行の業界内比較を行い、各社の違いを洗い出します。各社の特徴
外資系投資銀行9社の日本法人の事業の特徴について下表にまとめました。おおまかなイメージとしての参考用です。
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各企業をマッピングすると以下のイメージになると思います。※マウスオーバーで拡大
各社の社風
つぎに、各社の社風についておおまかなイメージを下表にまとめました。
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リーグテーブル
最後に、各社のマーケットにおけるポジションを確認するべく、リーグテーブルを確認します。
リーグテーブルとは何か
リーグテーブルとは、IBDの業界内の業績順位を表す順位表です。
M&A・ECM・DCMが大きなくくりであり、その中でもさらに細かい商品ごとや業界ごとなどさまざまな順位表が存在します。あまり細かく見すぎても意味をなさないため、大きなくくりで確認することで充分です。
リーグテーブルは、IFR、リフィニティブ、Wall Street Journal(WSJ)、Bloomberg社などが発行しています。今回は、大きなくくりで公表しているWSJのデータを参照します。
なぜリーグテーブルが重要か
リーグテーブルにより、各社がIBDの中でどの事業が強いのかがわかります。当然ながら強い事業にはそれだけ人員を張りますし採用人数も多いないしは安定的に維持されます。そのため、投資銀行の業務の中で、自分が志望する領域で強さを発揮する会社を志望することで採用・入社後の案件などのチャンスが多くなります。
また、投資銀行はビジネスモデルに違いがないため、マーケットでの強さの違いによって自分自身の中での志望順位を設定する際の評価基準として活用できます。さらに、採用面接においても、(きかれることはほとんどありませんが)その会社の志望動機にもなります。
リーグテーブルの見方
地域における強さと商品における強さの二軸で確認します。前者は、グローバルと日本のそれぞれの市場で確認します。後者は、M&A・ECM・DCMで確認します。これにより、グローバルと日本でのプレゼンスを確認できます。
リーグテーブル
(出典:WSJの公表値をもとに当社作成)
<グローバル>
●M&A
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ゴールドマンサックス、JPモルガン、モルガンスタンレー、シティグループ、バンクオブアメリカ・メリルリンチという米系投資銀行が連続してトップ5を独占しています。ゴールドマンサックスが圧倒的な差でトップ、JPモルガンとモルガンスタンレーが同水準で並び、少し間が空いてシティグループとバンクオブアメリカ・メリルリンチが並んでいます。投資銀行の総合的な順位もおおむねこの順位だといわれています。
●ECM
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M&A同様にトップ5を米系投資銀行が独占しています。クレディ・スイスやバークレイズもM&A同様にトップ10入りしており、欧州系ではトップと言えます。
●DCM
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こちらでは順位が入れ替わり、JPモルガンとシティグループがトップ争いをしています。少し間が空いてバンクオブアメリカ・メリルリンチとバークレイズがランクインし、モルガンスタンレーやゴールドマンサックスを上回っています。ドイツ銀行もDCMにのみランクインしています。
総じて、総合的に強い投資銀行と特定分野が強い投資銀行とで各社特徴が出ています。
JPモルガン、シティグループ、バンクオブアメリカ・メリルリンチ、バークレイズは総合的に強い中でもDCMに強みを持ちます。ゴールドマンサックス、モルガンスタンレーは総合的に強い中でもM&AやECMに強みを持ちます。クレディ・スイスはM&AとECM、UBSはECM、ドイツ銀行はDCMに強みを持ちます。
グローバルのリーグテーブルの結果をマッピングすると下図のイメージになるかと思います。各矢印の最先端がリーグテーブルトップを表し中心に近いほど低順位となります。※マウスオーバーで拡大
<国内> ●M&A
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野村証券がトップです。大和証券・MUFGはランクインしてません。
外資系では、モルガンスタンレー、メリルリンチ、ゴールドマンサックス、JPモルガン、ドイツ銀行、シティグループがランクインしています。特徴的な点は、1件あたりの取扱額です。外資系投資銀行は日系の倍以上となっています。これは、ビッグディールのみを扱うためです。
外資系の中でもモルガンスタンレーが圧倒的です。1件あたりの取扱額はやや劣りますが案件数が外資系投資銀行では圧倒的であり、MUFGとの提携の効果と思われます。米系5社がグローバルと同じく、安定してランクインしています。ドイツ銀行が2019年はランクインしていますが、2018年は10位入っておらず、欧州系は弱いです。
●ECM
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M&A同様に野村がトップであり、みずほFG・SMFGとで日系がトップ3を独占しています。ついでモルガンスタンレー、大和証券と日系が続いています。株式は発行体でも数十年に一度の場合もある非常に重要な案件であるため、日系多いものと思われます。
外資では、モルガンスタンレーが抜けており、クレディスイスとゴールドマンサックスが並んでいます。少し差が空いてバンクオブアメリカ・メリルリンチとJPモルガン、大きく差が開いてシティグループとなっています。米系はM&Aとほぼ同様の状況です。クレディ・スイスは2019年にランクインしましたが、2018は10位以下であり、欧州系は弱いといえます。
●DCM
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こちらも日系が上位をほぼ独占しています。野村ホールディングスがトップではなく、みずほFGがトップです。MUFGが初めてランクインしています。
外資では、モルガンスタンレーがダントツで二位にランクインしてます。ゴールドマンサックス、バンクオブアメリカ・メリルリンチ、JPモルガンが同水準で並んでいます。バークレイズもDCMにのみランクインしています。
総じて、総合的に強い投資銀行と特定分野が強い投資銀行とで各社特徴が出ています。
国内では、総合的に強いなかでも、野村ホールディングスはM&AとECM、みずほFGはDCM、SMFGはECMに強みを持ちます。大和証券はM&Aに弱くDCMとECM、MUFGはDCMに強みを持ちます。
外資は総じてM&Aに強く、ECMやDCMは相対的に弱いです。
モルガンスタンレーはMUFGとの提携が効果を発揮し、外資では圧倒的なプレゼンスであり全領域に強みを持ちます。
ゴールドマンサックス、JPモルガン、バンクオブアメリカ・メリルリンチもモルガンスタンレーには及びませんが全領域で強みを持ちます。
ドイツ銀行はM&A、クレディ・スイスとシティグループはECM、バークレイズはDCMに強みを持ちます。
国内のリーグテーブルの結果をマッピングすると下図のイメージになるかと思います。各矢印の最先端がリーグテーブルトップを表し中心から遠いほど高順位となります。※マウスオーバーで拡大