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ADK

電通、博報堂以外の大手総合広告代理店として有名なアサツーディー・ケイについて研究します。



  • 株式会社アサツー ディ・ケイ(以下、ADK)は、2017年に米投資ファンドのベインキャピタルによって買収され、いったん上場を廃止しております。そのため、IR資料が2017まで公開されている状況です。このようなことから、今回の記事では、それまでの会社の特徴や現在の会社形態を公開されている範囲で情報提供していきます。

    会社概要

    会社概要
    2018年まではADK単体がほぼ全ての事業を行っていました。しかし、2019年より、ADKは株式会社ADKホールディングスを純粋持株会社とする持株会社体制へと移行し、事業毎にグループ内に会社を設立する体制となりました。そのため、採用においても、ADKホールディングスと傘下の事業会社を合わせた採用をしているので、再編後の各々の会社概要を紹介していきます。

    <ADKホールディングス>
    設立 1956年(前身である株式会社旭通信社創業)
    従業員数 約270名
    事業内容
    ・グループ全体戦略・運営方針の立案
    ・事業会社の管理・監督
    ・グループのバックオフィス機能などを提供する純粋持株会社

    <ADKマーケティング・ソリューションズ>
    従業員数 1270名
    事業内容
    ・マーケティング課題解決の統合的な提案・実施
    ・デジタルおよびマスメディアのプランニング・バイイング、データドリブンマーケティング等

    <ADKクリエイティブ・ワン>
    従業員数 約670名
    事業内容
    ・クリエイティブおよびプロモーション領域における、プランニングから制作までの提案・実施

    <ADKエモーションズ>
    従業員数 約70名
    事業内容
    ・各種コンテンツの企画・制作・輸出入・販売
    ・アニメを中心としたライツ・マーケティングなど、IP(Intellectual Property)ビジネスの企画・プロデュース会社






    歴史

    創業者の稲垣正夫は、1956年に社員わずか4人で旭通信社を創業しました。広告会社としては後発だったADKは、特にメディアサービスにおいて先行の他社とは違った特徴を出すべく、当時少なかった子供向けの番組として「テレビアニメ」という新しいジャンルを開拓していきます。

    企業の組織運営にも広告業界初の試みをしていきます。1998年、世界最大のコミュニケーションサービス・グループであるWPPと提携しました。翌年、第一企画と合併し、株式会社アサツー ディ・ケイ(ADK)として新たなスタートを切りました。

    しかし、2017年には、ベインキャピタルベインキャピタルによる公開買付けが成立します。その翌年にそこから翌2019年より、「株式会社ADKホールディングス(ADKHD)」を純粋持株会社とする持株会社体制へと移行しました。ADKHD傘下の事業会社には、「株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ」、「株式会社ADKクリエイティブ・ワン」、「株式会社ADKエモーションズ」に再編しました。




    財務比較

    財務分析は、上場廃止以前の2015-2017年度の3年間を研究しています。

    基礎データ


    <グループ>
    コンテンツ図示

    ※単位:億円(3年平均値)
    ※マウスオーバーで拡大

    売上は約3,500億円であり、電通や博報堂とは少し差が開いています。オペレーティングマージン(営業利益÷売上総利益)も10-13%程度と電通や博報堂には及んでいません。しかし、その規模や収益性は電通や博報堂に次ぐいでおり、他の総合代理店と比べると大きく差を広げていることから、日本を代表する総合広告代理店だと言えます。

    <単体>
    コンテンツ図示

    ※単位:億円
    ※マウスオーバーで拡大

    ADK単体で3.000億円ほどの売上高を計上しています。前述の通り、2018年まではADKが単体でほぼすべての事業を手掛けていたため、ADK単体でグループの売上のほとんどを上げています。利益率はおおむね2.0%前後にあり、博報堂と同程度の水準です。


    地域別売上総利益


    <グループ>
    コンテンツ図示

    ※単位:億円
    ※マウスオーバーで拡大

    コンテンツ図示

    ※2018年度
    ※マウスオーバーで拡大

    9割弱が国内からの収益です。海外の収益では、約4割ほどが中国の子会社から収益です。


    媒体・部門別売上高


    <単体>
    コンテンツ図示

    ※単位:億円
    ※マウスオーバーで拡大

    コンテンツ図示

    ※2018年度
    ※マウスオーバーで拡大

    従来型の広告代理店業である価値伝達を行う4マス広告(TV、新聞、雑誌、ラジオ)からの収益が、半分以上を構成しています。電通や博報堂よりも多く、伝統的な価値伝達事業が中心にあることがわかります。

    ただし、媒体別売上の中身に独自性があります。ADKは「アニメのADK」と言われるほどアニメコンテンツの活用が得意と言われています。これは歴史を研究した際にも明らかでしたし、アニュアルレポートでは、アニメコンテンツに関してページ数が割かれており、「一つのアニメやキャラクターに関わる多くの関係者を巻き込み、コンテンツの価値を最大化する総合プロデュース力が強みである」とADK自身が言及しています。
    代表的な例では、「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」の番組の企画・製作、キャラクターの商品化、広告販促での活用、イベントやミュージカルへなどの多面展開があります。
    つまり、各媒体・部門別売上高及び割合にアニメとの関連性が非常に深いということが推察されると思います。




    企業ストーリー

    ADKは、最も重要な基本理念=ビジョンとして「ADKグループビジョン」を制定しております。グループビジョン内に、ビジョンに当たる部分、ミッションに当たる部分、バリューに当たる部分が含まれているので、それぞれ取り出して、ビジョン・ミッション・バリューとします。
    ビジョン

    ADKグループビジョン

    コンテンツ図示

    ※マウスオーバーで拡大

    ADKの創業当時のビジョンは「全員経営」でした。全員経営とは、「社員一人ひとりが経営者的意識の上に立って個性をエネルギーに転換し、完全燃焼させること」です。創業者・稲垣正夫が考えた「全員経営」の精神があったからこそ、広告代理店業が後発であるにも関わらず、国内広告会社3位にまで成長したとADK自身が認識・言及しています。

    そして、広告業界の環境変化に伴い、「全員経営」の精神を受け継ぎつつ、2013年より新たに「コンシューマー・アクティベーション・カンパニー」をビジョンに制定しました。ADKグループビジョンの”Our Business Domain”に「コンシューマー・アクティベーション」の定義が以下の通りされています。
    コンテンツ図示

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    この定義から、ADKは、ただ顧客の商品を消費者に伝える、ということを超えて、「顧客が持つブランドの世界観と体験を構築し、その世界観に消費者を惹きこむ」ことで「消費者を動かす」という方向に進むとしてることが読み取れます。その意味では、価値設計という価値の流れの上流に広げようとする電通と類似しているように捉えられます。ただし、ADKはより価値伝達をさらに深く追求しようとしているように見受けられます。


    ミッション

    ADKグループビジョンの真下にある3つの宣言文


    ADKグループビジョンを具現化するための3つの具体的な使命と解釈できる宣言文があるため、それをミッションと定義します。

    1. どんな革新的なテクノロジーも、そのままでは伝わらない。私たちはテクノロジーに意志と想いを乗せて、人々を突き動かしていく。
    コンテンツ図示

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    2. 私たちはつながることを目的にしない。つながり合うことで得られるその先の満ち足りた世界を指し示しながら、人々を突き動かしていく。
    コンテンツ図示

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    3. 真の成長のために、たとえ一見遠回りのように見えても私たちは文化をつくり、ひろげていく。それこそが、人々を突き動かす唯一の方法だと信じて。
    コンテンツ図示

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    コンシューマー・アクティベーションの実現のために、「意志と想いのあるテクノロジーの活用」、「つながり合い」、「文化をつくる」ことにより、人々を突き動かしていくことを使命としています。こちら側に人々を惹き込んでいくということだと捉えられます。


    バリュー

    KEY COMPETENCE


    バリューにあたる記載は、ADKグループビジョンのKEY COMEPETENCEが該当します。そこには、「戦略的視点」、「創造性」、「行動力」で消費者を動かしていくことが記載されています。
    コンテンツ図示

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    コンテンツ図示

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    コンテンツ図示

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    企業ストーリーで使用される言葉を分類整理すると、下図のように表現することができると思います。
    コンテンツ図示

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    中期経営計画

    2013年に公表した2020年までの中期経営計画「Vison2020」がありますのでこちらを研究します。ただし、2017年の買収と上場廃止により、現在は本中期経営計画が継続されているか破棄されているかが不明ですので、参考の位置づけとさせて頂きます。

    方針

    コンテンツ図示

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    最新版のアニュアルレポートでは、2013年に公表した中期経営計画「Vison2020」において、2020年度を目途に「コンシューマーアクティベーションカンパニー」へ大転換をしていくことが強調されています。ビジョンと中期経営計画書の方針が同じであるため、この中期経営計画対象期間において、新しい企業へ大きく変化・進化していく方向にあることが読み取れます。

    戦略

    コンシューマー・アクティベーション・カンパニーへと進化するために、ADKでは基盤構築と構造改革を戦略としています。そして、具体的な対象も設定しています。
    ●基盤構築 - 収益基盤の確立、中国子会社・コンテンツビジネスの改善
    ●構造改革 - グループ連携・セクター間連携の強化


    施策

    1. 基盤構築


    <収益基盤の確立>
    2016年度のアニュアルレポートによると、収益基盤の確立とは、「従来のメディアを売るだけの販売代理から、クライアントのビジネスパートナーとなって、コンテンツとしてのメディア価値を増幅できる体制をしっかりと構築すること」と定義されています。

    これまではテレビ・新聞・雑誌・デジタルなどメディアごとの部門体制でしたが、これからは顧客視点・消費者視点に切り替え、以下の分類で最適なソリューションを提供する体制に再編していきます。
    ・リーチ型 (テレビ・新聞・OOH※・デジタルのバナーなど)
    ・コンテクスト型 (雑誌・ラジオ・デジタルのSNSや動画など)
    ・レスポンス型 (デジタルの運用広告やテレビ型のスポットなど)

    コンテンツ図示

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    この改革に合わせて、データベース等を活用し、データサイエンス事業を一層推進します。そして、これら収益基盤の改革の結果として、「日時・場所・行動など消費者のコンテクストを的確に捉えて顧客の商品・サービスを結び付ける」コンテクストマーケティングを中心に行うとしています。

    <中国子会社・コンテンツビジネスの改善>
    ・中国子会社の改善
    構造改革の大きな課題の1つに、中国子会社の立て直しが挙げられています。中国市場では、特に日用品の商流がリアル店舗からECへとシフトしています。そこで、総合広告代理店からデジタルソリューションについても高い専門性を持つ広告会社へと脱皮させるため、抜本的な構造改革を断行しています。

    ・コンテンツビジネスの改善
    コンテンツ図示

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    コンテンツビジネスの改善は、コンテンツラインアップの充実、主力タイトルの多面展開を行うとしています。また、海外市場における収益向上のため、独自ネットワークを拡充する戦略です。


    2. 構造改革


    <グループ間連携・セクター間連携の強化>
    2016年のアニュアルレポートでは、各セクターで付加価値の創出とプロフィットマネジメントに責任を持つ体制を整え、グループ間連携・セクター間連携を整えてきたとしています。しかし、ベインキャピタルの傘下に入った翌年に、ADKは持株会社体制へと移行しました。ADKグループHPのADKグループ沿革によると、体制移行の背景には、個々の事業会社が専門性と生産性を高め、プロフェッショナルの集積体として、より高度なサービスの提供していく狙いがあるからです。


    総じて、ADKの掲げる中期経営計画は、「消費者をコンテンツの活用を中心に突き動かす」ということだったと思います。ここから、電通の価値伝達から価値設計へと領域を広げるという方向性と類似しますが、より「価値伝達を突き詰める」方向性にあると推察されます。





    求める人物像の推察

    求める人物像

    財務分析、企業ストーリー、中期経営計画を統合して考えると、求められる人材は、「人を動かすことにとことんこだわるプロフェッショナルであり、そのために強い意志で新しい文化や世界観を創造するチャレンジャー」です。そのため、「人の行動に対して好奇心が旺盛であること」、「新しいものを生み出す情熱」、「結果に対して徹底的にこだわっていく追求者」であることが求められます。


    キーワード

    コンテンツ図示

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  • まとめ

    企業理解イメージ図
    これまでの概要、歴史、財務分析(ビジネスモデル)、中期経営計画、企業ストーリーを構造化し、イメージ図に落とし込むと下図のようになります。
    コンテンツ図示

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    イメージは、チャレンジャー・アニメ・情熱的といったところだと思います。このイメージを分解すると、創造性と情熱です。より詳しく言うと、コンシューマーアクティベーション・戦略的洞察・文化の創造・実行力、といったキーワードとなります。

    なぜこのキーワードになっているかというと、以下3点から構成されたものです。
    ① アニメを中心とするコンテンツ活用といった独自の方向性で発展した歴史
    ② 価値伝達が中心であるアニメを中心とするコンテンツ活用が中心の事業構造
    ③ コンシューマー・アクティベーション会社になるという中期経営計画

    そのような歴史・現在(財務・ビジネスモデル)・未来(中期経営計画)となっているのは、企業ストーリーが創造性と情熱に重きをおき、新しいものを創造し消費者を突き動かすという内容となっているからです。


    業界内での志望理由

    企業分解イメージ図を踏まえ、現在・未来・企業ストーリーの3階層を焦点に、業界内で同社を志望すべき理由を考えます。


    1.コンテンツのADK


    (現在=財務状況から)アニメを中心としたコンテンツを活用に強い独自路線の価値伝達のプロフェッショナル。

    2.コンシューマー・アクティベーション・カンパニーという方向性


    (未来=中期経営計画から)ただ単に価値伝達するだけでなく、消費者を主にコンテンツを使ってアクティベートしていく会社へと進化していく方向性。

    3.新たな市場を開拓していく精神


    (企業ストーリー・未来・現在から)これまで他の企業が取り組んでこなかった市場で成長してきた歴史から、今後も新たなアニメを中心に独自路線で広告市場を開拓していくパイオニア的な企業姿勢。





    宿題:各社のHP、IR資料、中期経営計画を熟読し、理解を深めましょう。



    【出典】:2019年12月同社HP、2019年12月まで発表の同社決算短信、中期経営計画、その他同社公表資料

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