業界内比較
国内証券
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業界内比較を行い、さらに各社の違いを洗い出します。企業ストーリー
企業ストーリーの比較は下表のとおりです。
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企業ストーリーとあなたのマイストーリーとの合致が非常に重要ですので、最初にこの部分で確認をし、暫定的に志望の優先順位をつけます。企業のコアとあなたのコアが合致しているか、どの程度合致しているかの確認です。※マウスオーバーで拡大
より理解しやすいように、企業ストーリーに含まれる要素を、バランス・情熱・創造性の3つに分類し、各社の違いを表しました。平たく表現したものでありますが、企業ストーリーから導き出される企業姿勢も、あなたのマイストーリーと合致するかを確認すべき項目です。※マウスオーバーで拡大
企業ストーリーから、各企業をマッピングすると以下のイメージになると思います。
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財務比較
つぎに財務比較を行い、直近の過去の事業活動からあなたのマイストーリーと合致するか、より具体的に注力している事業やビジネスモデルなどから、あなたのバリューや成長条件を合致するかを確認します。
基礎データ
※単位:億円
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※三菱UFJモルガン・スタンレー証券は三菱UFJMS証券と表記しています
※野村證券は2018年度の800億円程度の減損損失、みずほ証券は2016年度のグループ再編に伴う関連会社株式売却による利益を含んでいます。
野村證券がダントツの営業収益です。大和証券が1/3程度、さらにその半分程度で銀行系証券会社3社が並んでいます。
一方で利益面では、野村證券と大和証券の差は縮まっていますが、野村證券は2018年度に計上した800億円の減損損失を含めての金額となるため、それを除けば1,500億円近い利益であり、大きな差が開いています。
銀行系三社は、SMBC日興証券が頭一つ抜けています。なお、みずほ銀行が2016年度に計上した株式売却による特別利益を除けば、三菱UFJMS証券と同程度ないしは下回る水準です。
セグメント情報
セグメント情報の開示がないSMBC日興証券、数値の開示のない三菱UFJモルガン・スタンレー証券、数値の開示があっても純営業収益と部門別経常収益の開示と情報が異なることから、横並びの比較ができないため、各社の情報を提示します。
<野村ホールディングス:純営業収益>
<大和証券グループ:純営業収益>※単位:億円
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<SMBC日興証券グループ:純営業収益>※単位:億円
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セグメント情報はありません。
<三菱UFJ証券ホールディングス:経常利益(管理会計ベース)>
<みずほ証券グループ:純営業収益>※マウスオーバーで拡大
※単位:億円
※マウスオーバーで拡大種類別収益
※単位:億円
※マウスオーバーで拡大※2016-18年度の3年平均
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野村證券と大和証券の独立系は金融収益(保有証券に関連する利息等のストック収益)の割合が大きいです。銀行という後ろ盾がないため、安定収益源として確保しているものと思われます。しかし、受入手数料でも野村證券・大和証券が抜けており、リテール・ホールセール共に積極的に実施していることが分かります。
また、銀行系3社のトレーディング損益が大きいことも特徴です。銀行系であり、専門業務を行うこと、財務的後ろ盾がいることから、ある程度リスクを負っていく状況にあり、自己勘定トレーディングを積極的に行っているものと思われます。
地域別情報
地域別情報についても、部門収益同様に横並び比較が不可能であるため、各社情報を掲示しています。
<野村證券:税前利益>
<大和証券:経常収支>※単位:億円
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<SMBC日興証券>※単位:億円
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地域別情報の開示はありません。
<三菱UFJモルガン・スタンレー証券:営業収益>
<みずほ証券::純営業収益>※単位:億円
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地域別情報の開示はありません。
総じてグローバル化はあまり進んでいません。海外においては巨大な外資系投資銀行のプレゼンスが大きいためと思われます。唯一、モルガンスタンレーと提携している三菱UFJモルガン・スタンレーのみ安定的かつ3割程度の海外収益を上げています。
財務分析から、各社をマッピングしたイメージは以下の通りです。
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中期経営計画
企業のコアである企業ストーリー、企業の直近の過去と現在を表す財務にて、マイストーリーとの合致度合いを確認した後は、最後に目指している未来について、マイストーリーと合致するかを確認します。
そのためには中期経営計画で比較します。中期経営計画の比較は以下の通りです。※マウスオーバーで拡大
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図下部に一言でいえば何を目指しているのかを、中期経営計画で使用されている用語を用いて表現しました。この方向性とあなたのマイストーリーが合致するかで志望の優先順位を分けることができます。※マウスオーバーで拡大
中期経営計画を、各社マッピングさせたイメージ図は以下の通りです。※マウスオーバーで拡大
求められる人物像
ここまでで、コア・過去と現在・未来の企業とマイストーリーの合致度合いによって、志望の優先順位をつけるための材料が揃いました。この段階で志望の優先順位を付けたうえで、最後に適正による優先順位を確認します。
あなたがマイストーリーの中で、これまで培ってきた心と素養、それを培った経験に対して、求める人材像とどの程度合致しているか、によって適正を確認します。
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まとめ
企業ストーリーという変わることのないコアの部分、財務分析でわかる直近の過去と現在の事業活動、そして未来を描く中期経営計画をしっかり比較分析することによって、各社が実はこれほど異なることがわかります。
この分析をせずに、面接のためのその場しのぎでOB訪問を行い、面接では「OB訪問で会った社員に惹かれ志望した」などという本質的ではない理由が見受けられますが、企業の面接官は見抜いています。本質的な理解が及んでいないことを逆に証明することになり却ってマイナスです。
そして、本質的な理解が及んでいないため、ミスマッチの可能性が排除できないこと、自分の人生と深くマッチしている実感が持てないので、入社後のモチベーションに影響を及ぼします。そのような状況にならぬよう、業界内比較分析をしっかり行い、各社の違いについて本質的な理解をしましょう。
実際に自分の目で、各社のHP、IR資料、中期経営計画を熟読し、理解を深めてください。
宿題:各社のHP、IR資料、中期経営計画を熟読し、理解を深めましょう。
【出典】:2019年12月同社HP、2019年12月まで発表の各社決算短信、中期経営計画、その他同社公表資料