Sony
日本の電機メーカーのトップであるSonyについて研究を行います。
-
会社概要
会社概要
1946年設立
資本金約8,742億円
関連会社 1,773(日本一)
従業員数 連結約114,400名
事業内容(事業部門)
ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画、エレクトロニクスプロダクツ&ソリューション、イメージング&センシングソリューション、金融、その他、の7事業部門。
歴史
1946年、井深大と盛田昭夫により東京通信工業株式会社として創業。1950年には日本初のテープレコーダーを開発。オランダのフィリップス社のような大会社を目指して輸出に注力する方針を立てました。1955年、日本初のトランジスタラジオ「TR-55」を発売。トランジスタラジオ「TR-63」は輸出機として大成功をおさめ、1958年に東京通信工業株式会社からSony株式会社に改称。
1961年 世界初のビデオテープレコーダー「SV-201」を開発。1975年 小型化・低価格化を図ったビデオカセット規格「ベータマックス」を発売。ベータマックスは日本ビクターが開発した家庭用VTRビデオカセット規格「VHS」と、家電業界を二分する激しい規格争い(ビデオ戦争)を繰り広げました。
1979年 ウォークマン発売。1985年 8ミリビデオ発表。以降も、数々の革新的な製品開発を行い、飛躍的に会社を拡大させました。
2010年以降は、電気製品のコモディティ化の影響を受け、VAIO事業の売却等含め、選択と集中を進めています。
財務分析
Sonyは関連会社が多く、Sonyの決算=Sonyグループの決算と捉えるべきです。したがって、すべてSonyグループとしての情報です。
基礎データ
売り上げ、利益ともに順調に伸びています。8兆円超の売り上げと直近は9千億円規模の(親会社に帰属する)当期純利益と、日本を代表する企業です。電機メーカーというくくりでは、9千億円の純利益は圧倒的な水準です。ただし、利益に安定性はありません。
※単位:億円
※マウスオーバーで拡大
部門別収益
エンターテーメントが青系統、電機製品が黄色系統、金融が緑で3系統に分類にしています。圧倒的に青系統が占め、次いで緑となっており、電気製品は3系統では最も低い利益となっています。
もはや、電機メーカーではなくエンターテーメント企業というべきです。そのため、利益の安定性は欠いています。
※単位:億円
※マウスオーバーで拡大
地域別売り上げ
公表情報はありません。
開発費
公表情報はありません。
企業ストーリー
Sonyは、創業者の一人井深大が定めた、設立趣意書を基盤とし、現代的にPurposes(存在意義)とValues(価値観)を定めています。
設立書をミッションと読みかえ基盤に置き、存在意義をビジョン、価値観をバリューとします。
ミッション
設立趣意書の主要な部分のみの抜粋です。技術者の技能を基盤とし、非常に自由闊達で革新的で情熱的な内容です。ベンチャースピリットそのものだといえます。規模に一切頓着せず、革新性にのみ着目しています。これこそが、Sonyが革新的な製品を出し続けてきた由来と言えます。※マウスオーバーで拡大
ビジョン
※マウスオーバーで拡大
設立主意書を基盤にし、現在のSonyのビジョンは、もはや電機メーカーではなく、エンターテーメント企業といえるビジョンです。
これまで培ってきた革新性と技術を掛け合わせ、「エンターテーメント」の方向に進むということです。
バリュー
Sonyブランドとして、高潔さ・誠実さ・持続可能性に言及あるも、やはり夢と好奇心という情熱的な表現が非常に特徴的です。また、創造性の重要な要素として多様性にも言及しています。※マウスオーバーで拡大
企業ストーリーで使用される言葉を分類整理すると、下図のように表現することができると思います。※マウスオーバーで拡大
とにかく創造的で革新的な企業ストーリーです。さらに情熱も併せ持ちます。バランスは重要ではあるものの相対的には優先度は低いといえます。ベンチャースピリット溢れる大企業と言えると思います。
中期経営計画
Panasonicは、2019年に2021年に向けて3年間の中期経営計画を発表しています。
方針
※マウスオーバーで拡大
企業ストーリーと財務分析でもはやエンターテーメント企業だと解釈した通り、「テクノロジーに基づくクリエイティブエンターテーメントカンパニー」が目指す姿として掲げられています。
戦略
※マウスオーバーで拡大
戦略として、「人に近づく」をテーマとしています。
ユーザーとクリエイターに近づくサービスの強化によるエンターテーメント事業の拡大、そしてそれを支えるために、①ハードウェア事業で安定したキャッシュフロー、②強みのイメージセンサーで世界No.1、という戦略です。
施策
※マウスオーバーで拡大
戦略に基づき、各事業領域においての方法が示されています。
ゲームでは、ストリーミングによりユーザーがよりいつでもどんなゲームでもリーチできる環境を構築することを方法としています。
※マウスオーバーで拡大
エンターテーメントでは、IP(知的財産)=過去の映画・音楽作品を活用し、過去作品にリーチできる環境を構築しようとしているようです。
全体的には、エンターテーメント事業領域を中心とし、拡大を行っていきます。
それを下支えするべく、ブランドが確立したハードウェア事業で安定的にキャッシュフローを創出し、また強みのイメージング事業領域で世界No.1となること、が掲げられています。
設立趣意書にもある通り、むやみに拡大せずに、独自性の領域にまで達している事業に集中して事業を行っているということです。
求める人物像の推察
求める人物像
企業ストーリー、歴史、財務分析、中期経営計画を統合すると、求められている人材は、「人の感動を与えることのできるクリエイティブディレクターあるいはクリエーターのような人材」です。
情熱をもって、次々と新しいこと、革新的なこと、エモーショナルなことに挑戦する人物が好まれます。
そしてその基盤として、技術とクリエイティブへの意識を持っている必要があります。
キーワード
※マウスオーバーで拡大
-
まとめ
企業理解イメージ図
これまでの概要、歴史、財務分析(ビジネスモデル)、中期経営計画、企業ストーリーを構造化し、イメージ図に落とし込むと下図のようになります。
※マウスオーバーで拡大
革新的、技術力といったイメージだと思います。
クリエイティビティ、テクノロジー、感動、夢、好奇心、というような言葉がキーワードとなります。
なぜこのキーワードになっているかというと、
①革新的な製品を送り出してきた歴史
②エンターテーメント事業が強い事業構造
③クリエイティブエンターテーメント企業を目指す将来計画
から、構成されたものです。
そのような歴史・現在(財務・ビジネスモデル)・未来(中期経営計画)となっているのは、企業ストーリーが設立趣意書とビジョンにおいて創造性や革新性を何よりも重要としているからです。
業界内での志望理由
企業分解イメージ図を踏まえ、現在・未来・企業ストーリーの3階層を焦点に、業界内で同社を志望すべき理由を考えます。
1.選択と集中が進んだ強い事業構造
(現在=財務状況から)独自の境地に達しているエンターテーメント事業、ブランドが確立された製品のみのエレクトロニクス事業、世界No.1を狙うイメージング事業、非常に安定かつ強固な金融事業、と強い事業のみに選択と集中してきた事業構造です。
2.クリエイティブエンターテーメント企業
(未来=中期経営計画から)現時点ですでにそうではありますが、技術に裏打ちされたクリエイティブエンターテーメント企業という唯一無二の方向性。
3.革新的な企業風土
(企業ストーリー・未来・現在から)創業以来革新的な製品を生み出し、今なおベンチャースピリット溢れる特異な企業風土。
宿題:各社のHP、IR資料、中期経営計画を熟読し、理解を深めましょう。
【出典】:2019年12月同社HP、2019年12月まで発表の同社決算短信、中期経営計画、その他同社公表資料